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福岡!企業!元気!のための年金ワンポイント 《平成27年6月号》
ねんきん事例2(65歳過ぎて初めて厚生年金に加入したが・・・)

 今月は自営業を営んでいるスネ夫さんの事例をご紹介します。
 現在66歳。奥様は5年前に亡くなり、奥様からの遺族厚生年金を月約1,300円もらっています。スネ夫さん自身もこれまですべて国民年金保険料を払っていますので、65歳から満額の老齢基礎年金を月64,000円もらっています。
 自営業も多少波はありましたが、全般的に順調だったようです。どういった経緯でその個人事業を法人化しようと決断されたかは不明ですが、支払う保険料と増える年金額を比べた場合、年金の中ではほぼメリットがありません。法人化しなくてもよかったのではないかと思うのですが・・・

まず、支払い金額から見ていきます。
年金事務所に届けた報酬:月額41万円
毎月の健康保険料:事業主負担分を合わせて47,847円
厚生年金保険料:71,643円
その他所得税や住民税も負担しないといけません。

 自営業のままだと、所得に応じてですが国民健康保険料を支払います。ちなみに総所得金額が1,050,000円だと年額140,900円(月額11,742円)、2,050,000円だと252,100円(月額21,008円)です。(H26年度 福岡市の場合)
厚生年金保険料や国民年金保険料の負担はもちろんありませんが、所得税や住民税は負担します。

次に増える年金額はというと、厚生年金1月加入で年額3,800円(月額約317円)増えます。厚生年金保険料は1年間に859,716円も払わなければならないのに、もらえるのは3,800円なのです。
その上スネ夫さんは奥様の遺族厚生年金を受け取っていますので、遺族厚生年金が減らされます。
つまり、スネ夫さんの老齢厚生年金と老齢基礎年金は優先的にもらえますが、遺族厚生年金は15,600円−3,800円=11,800と減らされるのです。
いやはや、踏んだり蹴ったりという言葉がそのまま当てはまりそうです。 スネ夫さん、法人化してよかったのでしょうか?

回答者 特定社会保険労務士 堀江 玲子
堀江社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士 堀江 玲子
福岡市早良区西新4-7-10西川ビル304
TEL092-836-8238 FAX092-836-8239
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