皆さんは未支給年金という言葉を聞いたことがありますか?
年金を受け取っている人が亡くなった場合、その方が受け取れる年金で受け取れなかった年金があれば、亡くなった方の配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹・および三親等以内の親族で、死亡者と生計を同じく(必ずしも一緒に住んでいる必要はありません)していれば、未支給年金を請求することができるというものです。
例えば、8月15日は6月と7月の年金が支払われる支給日です。8月1日から31日までの間に亡くなったとしたら、8月分の年金は支払われるまで数か月かかりますが、未支給年金として受け取れるのです。
未支給年金は、死亡の時の最終支払い分とは限りません。
夫が亡くなり、妻が遺族厚生年金の手続きをしようとしたところ、夫の独身時代の厚生年金の記録が出てきました。もらっていなかった厚生年金の分を未支給年金として受け取れることもあります。
さて、今月は障害厚生年金にまつわるひと月分の未支給年金の事例を紹介します。
会社員の59歳の女性が乳がんで死亡しました。夫とは離婚していて成人している2人の娘さんがいます。生活の為かなり無理をして仕事を続けていたようです。乳がんがわかった時にはすでに手遅れだったとか。
このケースでは、2人の娘さんに遺族基礎年金・遺族厚生年金・死亡一時金等何も請求して受け取れるものはありませんでした。
唯一死亡後の障害厚生年金の請求の可能性がありました。ただし、障害年金は生きている間のものなので、受け取れるのは1月分のみでした。1月分でもお母さんが残したものであればということで、娘さんたちは障害厚生年金(未支給年金)の手続きを行いました。
まれなケースですが、亡くなった後でも書類が揃えば障害年金の認定日請求というものができることはあります。
回答者 特定社会保険労務士 堀江 玲子
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