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福岡!企業!元気!のための年金ワンポイント 《平成29年4月号》
ねんきん雑学C

 今月号は障害年金の納付条件と障害認定日についてお話します。
≪納付条件≫
 障害年金は本来、病気やケガの為に働くことができない方の最低の生活を保障するという趣旨の制度です。しかし、申請をするには一定の期間国民年金保険料を納めるか、または免除申請をしている、あるいは厚生年金に加入しておかなければなりません。ただ、20歳前の傷病で申請をする場合は、納付条件は不要です。  実務上、年金事務所で初診日の月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がないかを調べます。未納が1月もなければOKです。
 しかし、以下のような点にも注意を払わなければなりません。

 @ 保険料の納付日は、初診日の前日以前か?(後出しじゃんけんは認めませんという意味です)
 A 保険料の免除申請をしている場合、免除の申請日は初診日の前日以前か?
 B 初診日があやふやで、仮にずれた場合でも納付条件は満たせるか?

 ※請求者自身の記憶に頼らず、初診日確定後(病院の記録である受診状況等証明書取得)年金事務所で納付条件を確認することが重要です。
 ※直近1年の中に未納が1月あったがゆえに、申請できないケースや(この傷病では一生申請できません)、調べたら本人が言っていた初診日がずれてしまい、納付条件が満たせなくなることはよくあります。

≪障害認定日≫
 障害認定日とは、障害の程度の認定を行う日のことで、初診日から1年半後になります。
 例えば、初診日が平成28年4月1日であれば、障害認定日は平成29年10月1日となり、この日から障害年金が請求できます。ただ、認定日の例外というものがあります。

診断書傷病が治った状態障害認定日障害等級の目安
聴覚等咽頭全摘出咽頭全摘出日2級
肢体人工骨頭、人工関節挿入置換日原則3級
切断又は離断による肢体の障害切断又は離断日1肢の切断で2級、2肢の切断で1級
脳血管障害による機能障害初診日から6月経過後
呼吸在宅酸素療法開始日(常時使用)3級(24時間使用)
循環器(心臓)人工弁、心臓ペースメーカー、ICD装着日3級
心臓移植、人工心臓移植日または装着日1級(術後の経過で見直し有り)
CRT,CRT−D装着日重症心不全の場合は2級
人工血管挿入置換日3級
腎臓人工透析療法透析開始日から3か月経過日2級
その他人工肛門造設造設日又は手術日3級

   ※必ずしも1年半経過しなくても上記のような状態であれば、申請は可能です。ただ、申請すれば認められるというものではありません。症状が固定していないと認定された場合は、改めて請求をし直すことも可能です。

 前月号の「初診日」、今月号の「納付条件」と「障害認定日」、障害年金申請にはいくつか越えなければならないハードルがあります。がんと判明しても1年半後にしか申請できないので、受給が間に合わないケースも出てきます。
 次回は「障害認定基準」についてお話を進めていきます。

回答者 特定社会保険労務士 堀江 玲子
老齢・遺族・障害年金・脱退一時金・労災・加入記録の調査、手続き等 堀江社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士 堀江 玲子
福岡市早良区西新4-7-10西川ビル304
TEL092-836-8238 FAX092-836-8239
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