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福岡!企業!元気!のための年金ワンポイント 《平成29年6月号》
ねんきん雑学E

 前月号に引き続き、傷病の種類ごとに2級相当とはどれぐらいの状態なのか説明します。

【精神】
 近年精神疾患による障害年金の請求件数がかなり増加しています。精神の障害と言っても6種類に分けられて審査されます。「統合失調症」「気分障害」「症状性を含む器質性精神障害」「てんかん」「知的障害」「発達障害」です。
 「統合失調症」は生涯有病率が100人に1人と言われていて、決して珍しい病気ではありません。幻覚・妄想・まとまりのない会話・突然自分の行動のコントロールがきかなくなる等により日常生活が著しく制限を受け続けたら2級程度となります。
 「症状性を含む器質性精神障害」とは、アルコール依存症や薬物等が原因で生じた精神障害や高次脳機能障害(交通事故や脳出血等で脳が損傷を受け認知障害を起こしたもの)で、日常生活や社会生活に非常に制約が出て介護が必要な状態が2級相当です。
 「発達障害」は、自閉症・アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害・学習障害・注意欠陥多動性障害などです。知的障害とは違い知能指数が非常に高い方もいますが、社会生活を営む上でコミュニケーション能力の障害によって対人関係や意思疎通が図れず、日常生活が困難になっている場合に認定されます。一般的には、年少の時に判明することが多いようですが、成人して社会生活を何年も送ってから判明する事もあるようです。

【心疾患】
 心疾患は、弁疾患、心筋疾患、虚血性心疾患、難治性不整脈、大動脈疾患、先天性心疾患の6種類に分けられています。最終的には、心臓機能が慢性的に弱っている慢性心不全の状態がどれほどかということで判断されます。日常生活が著しく制限を受けるか、又は著しい制限を加えることを必要とする程度であれば2級となります。心電図は必要で、いろいろな検査成績も参考にされます。ちなみに心臓移植や人工心臓は1級、CRT(心臓再同期医療機器)、CRT-D(除細動器機能付心臓再同期医療機器)は2級。人工弁やペースメーカーは3級です。

【代謝疾患】
 代謝疾患のほとんどが糖尿病です。合併症の有無と程度、代謝のコントロール状態、治療と症状の経過、どのような日常生活を送れているか等が認定の根拠となります。合併症として糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性壊疽等があります。
 具体的には、身の回りのある程度のことはできるが、しばしば介助が必要で、日中の50%以上は就床しており、自力では屋外への外出がほぼ不可能となったものが2級相当です。

【悪性新生物】
 癌でも障害年金の対象になります。障害の程度は、組織所見とその悪性度、一般検査及び特殊検査、画像検査等の検査成績、転移の有無、病状の経過と治療効果等を参考にして、具体的な日常生活状況により総合的に判断されますが、次の3つに分けられます。
 ・癌そのものによって生じる局所の障害
 ・癌そのものによる全身の衰弱又は機能の障害
 ・癌に対する治療の効果として起こる全身衰弱または機能の障害
 これまでの経験では、医師から余命あと半年と宣告された方がやっと2級に認定されたことや、審査結果を待たずして亡くなった方もいらっしゃいます。(死亡後に認められたとの結果がきました)癌と診断されただけでは、認められないというのが現実です。

 以上、代表的な傷病の2級相当とはどれぐらいかを述べました。

回答者 特定社会保険労務士 堀江 玲子
老齢・遺族・障害年金・脱退一時金・労災・加入記録の調査、手続き等 堀江社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士 堀江 玲子
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