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福岡!企業!元気!のための年金ワンポイント 《平成30年1月号》
ねんきん雑学L

 今年は障害年金の事例を1年間通して掲載したいと思います。
 ・少なくとも私の周辺で起こり、多少とも関わったもの
 ・障害年金を受給できたものだけでなく、何らかの理由で断念せざるを得なかったもの
 ・客観的事実は残しながら、個人情報は大幅に修正又は省略
 以上3点を前提条件としてご紹介していきます。
 さっそくですが、1月号は『繊維筋痛症』を取り上げます。
 繊維筋痛症という傷病名を聞いたことがない方も大勢いらっしゃると思います。本来、障害年金を申請する場合、以前このブログでも取り上げたことがあるのですが、@保険料納付要件 A初診日要件 B障害認定日要件の3つのハードルを満たすことができるかが重要なポイントとなります。極端なことを言うと何の病気かという傷病名はほとんど関係ありません。相談者から障害年金について質問をされる場合、「ガンになっているのですが、障害年金はもらえますか?」「うつ病とパーキンソン病を患っていますが、受け取れますか?」と病名から質問されるケースが多いのです。
 病名では決まらないとは言いつつも、社労士が代理人として申請する場合、最終的には年金を受け取る権利(受給権)を得ることが一番重要なこととなります。診断書作成を医師に依頼する、出来上がった診断書をチェックする、最終的に日本年金機構の審査に堪えうるような書類の作成をしなければならないということを前提とするなら、どんな病気か・どういう治療方法があるか・どういう症状が出るかといったことを理解しておくことは非常に大切なことになります。
 ということから、病気そのものにも触れることとします。
 リウマチ情報センターが出している文章を要約します。

(疾患概念・定義)
 繊維筋痛症(FM)は関節、筋肉、腱など身体の広範な部位に慢性の「痛み」と「こわばり」を主症状とし、身体の明確な部位に圧痛を認める以外、診察所見ならびに一般的な臨床検査成績に異常がなく、治療抵抗性であり、強い疲労。倦怠感・目や口の乾燥感、不眠や抑うつ気分など多彩な身体的訴えがみられ、中年以降の女性に好発する原因不明のリウマチ類似の病気です。
 この病気は古くからあったのですが、認知度が低く、診療を避ける医師が多いことが大きな問題となっています。

 私が関わったのはやっと30歳になった女性でした。20代前半から不定期ですが、我慢できないほどの背中の痛みで苦しみました。どこの病院でも原因不明と言われ、対処の方法がありませんでした。そのうち耐え難いほどの全身の痛みが1年の3分の2は続いたのです。朝起き上がれない、起き上がるには母親の手助けがいる、ジュースやスムージーしか喉を通らない、2日に一度点滴をする、全身の痛みで浴槽に入ることができず時々シャワーを浴びる程度、テレビは光りがダメで見ることができない、部屋はいつも暗くしている、めまいや吐き気がする、トイレは壁を伝っていく、気圧の変化により体調が悪くなる、疲労感から歩くのは10分がやっとといった状態でした。家族の送り迎えで病院の受診にだけ外出する程度で、もちろんアルバイトもできません。家族に負担をかけるからということで、障害基礎年金の申請を依頼されましたが、大学病院の医師が障害年金の申請に協力的でなく、診断書作成を拒否されました。医師としては若い女性が一度障害年金に頼れば、治そうとしないし、働かなくなるという見解でした。  何よりもやっと診てくれる医師に出会ったので、この医師の考えに逆らえば、治療をしてくれる病院が見つからないということで、この女性の方から申請をあきらめると言ってきました。
 申請していれば、障害基礎年金2級の可能性は高かったのですが、治療優先と考え申請を断念しました。
 「繊維筋痛症友の会」のアンケートでは指定難病から外されているので、高額な医療費が生活を困窮させており、「経済的にも精神的にも気兼ねなく生活したい」という切実な要望が多いということです。お医者様にはこの患者さんたちの現実を見ていただきたいと願います。

回答者 特定社会保険労務士 堀江 玲子
老齢・遺族・障害年金・脱退一時金・労災・加入記録の調査、手続き等 堀江社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士 堀江 玲子
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