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福岡!企業!元気!のための年金ワンポイント 《平成30年3月号》
障害年金事例A

 今月号は皆さんも聞いたことがある病名のパーキンソン病を取り上げます。
 これまで5件ほど相談・申請を受けたことがあります。納付要件(障害年金申請の資格)がなかった相談案件と、初診日の食い違いで現在審査請求中の1件を除いて、残り3件は2級が認められました。
 パーキンソン病とは、ある特定の神経細胞が何らかの原因で、障害を受け脱落してしまう病気です。その結果、スムーズに運動ができなくなり、体のバランスが取れず、筋力が徐々に低下していくものです。
 他に特徴的な症状として、手足の震え・筋肉が固まってしまう・動作が静止したまま・方向転換ができない・とっさの動作がとれない・2つ以上の動作が同時にできない等があげられます。
 症状は徐々に進行していきますが、死に至る病気ではなく、適切な治療により発症から10年ほどは日常生活が可能です。現在日本では11万人ほどの患者さんがいますので、決して珍しい病気ではありません。

 過去の事例(50歳女性)を紹介します。
 〇○年〇月 食品の製造工場で働いていたが、左手が震えるようになり、その後左手の動きも鈍くなった。
 〇○年〇月 近くの整形外科を受診したが、よくならなかったため、神経内科を受診したらと紹介状を書いてくれた。
 〇○年〇月 神経内科で検査をしたが、特に異常なしだった。半年ほど服薬とブロック注射をするために通院したが、効果がなかったので中断した。
 〇○年〇月 1年ほど仕事が忙しく、受診できなかった。しかし、足がすくむ・慢性的な疲労感に悩まされる・震えがひどい・ボタン掛けができない・箸が使えないようになった為、再度整形外科を受診した。
 〇○年〇月 経緯を話し、レントゲン検査の結果、脳外科を紹介された。
 〇○年〇月 パーキンソン病と診断。薬物治療を受け、月1回受診。主治医の勧めで
        身体障害者手帳を申請、3級が認められた。DBSという「脳深部刺激療法」を受けてみないかと勧められる。この頃は歩行にも支障が出ており、杖をつかないと歩けないようになっていたので、症状が軽くなるならと手術を受けることにした。仕事も辞めざるをえなくなり、運転も禁止された。術後の半年ほどは、症状が改善したが、徐々に元に戻ってしまった。椅子から立ちあがれなくなり、ベッドから起き上がる動作もかなり時間がかかるようになった。抑うつ状態になり、便秘もひどい。

 このような状態の時に障害年金申請の相談があり、申請までに3ヶ月、決定・支払までに半年かかりました。
 パーキンソン病は、薬が効いている間は症状が改善しています。薬の効果が無くなると本来の悪化した症状が出てきます。この薬の効果が表れているときの状態が診断書に記されると、認められないケースが出てきますので、依頼時には注意が必要です。

回答者 特定社会保険労務士 堀江 玲子
老齢・遺族・障害年金・脱退一時金・労災・加入記録の調査、手続き等
堀江社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士 堀江 玲子
福岡市早良区西新4-7-10西川ビル304
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