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福岡!企業!元気!のための年金ワンポイント 《平成30年11月号》
障害年金事例I

 先日、仕事で東京へ行きました。2年前に障害厚生年金の申請を行いましたが、認められなかったため審査請求を経て再審査請求というのを行い、その公開審理に出席するためです。障害年金の申請を日本年金機構におこなって、認められなかった場合、不支給決定を受け取って3か月以内に九州厚生局へ審査請求という不服申し立てができます。審査機関は、社会保険審査官といって完全独任制、1名で担当します。この審査官も出身は日本年金機構の職員なので、審査内容に明らかな間違いでもない限り、なかなか認めてくれません。審査官の審査は、ほぼ書面審査なので、医師の意見書を付けたり、医学論文等で反論したり、不支給の決定がいかにおかしいか、根拠を掲げて証明することになります。
 それでも認められず、どうしても納得がいかない場合は、2か月以内に厚生労働省内の社会保険審査会に再審査請求ができるのです。審査長1名、委員が2名、参与と言われる厚生労働大臣から指名された、被保険者代表8名、事業主代表6名、国民年金代表4名の内8名ほどが出席しています。
 年金事務所へ障害厚生年金請求書一式を提出して、審査に通常3ヶ月ほどですが、今回は不支給の結果が出るまでに半年かかりました。請求者と相談し、審査請求することになり、その結果が出るまでに8か月。それでも認められず再審査請求です。公開審理が開かれるまでに5か月かかり、請求者も精神力・忍耐力がないと途中で挫折しそうになります。そうまでしても、容認(認められること、裁判でいうと勝訴に相当)は平成29年度で採決件数1677件中99件です。棄却と言って認められないのが1475件、却下と言ってそもそも審査の対象とならないものが103件です。
 99件は5.9%であり、認めてもらうのがいかに困難かお分かりだと思います。
 今回の案件も、こちらの主張は正しいのだと信じて、支援を続けるわけですが、結果の見通しはつかず、裁決書が届くまで実際は不明なわけです。
 ところが、今回はわざわざ東京まで出かけて出席したかいがあったと、つくづく思いました。意見を求められた参与9人中6名が、当方の主張を認めるべきだという趣旨の発言をしてくれたのです。心の中で、ガッツポーズ、涙腺はウルウルでした。障害等級の判断は後日に持ち越されましたが、あきらめなければ結果はついてくるものだと意を強くしました。
 今後数か月後に裁決書が届き、そこから年金証書が届くまで3ヶ月、振り込まれるまで2か月かかりますので、終結を迎えるまでまだ長い時間がかかりそうです。
 ただ、年金受給権獲得の喜びを直接請求者と分かち合える仕事ですので、それがなによりの喜び・やりがいとなります。

回答者 特定社会保険労務士 堀江 玲子
老齢・遺族・障害年金・脱退一時金・労災・加入記録の調査、手続き等
堀江社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士 堀江 玲子
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