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福岡!企業!元気!のための年金ワンポイント 《平成31年4月号》
年金と周辺知識(未支給年金)

 年金を受け取っている方が亡くなった場合に、
@ まだ受け取っていない年金 
A 亡くなった日より後に振り込まれた年金
 上記の2つを未支給年金といって、一定の遺族が受け取ることができます。

@ についてわかりにくいので具体例をあげます。
 85歳の父親が死亡、母親は認知症で施設に入所中なので、55歳の息子さんが年金事務所へ遺族年金と未支給年金の手続きに行きました。すると、父親が過去働いていた厚生年金の一部の記録が出てきて、母親が過去分すべて受け取ることができるようになったのです。つまり、警察官だった時代の共済年金は受け取っていた、定年後農協で勤務していた厚生年金分も受け取っていた、交通安全協会勤務時代の厚生年金の記録が漏れていたのです。その総額なんと600万円でした。母親は金銭のことはわからなくなっているので、息子さんが一番驚き、「仏壇にそなえよう!」と大喜びでした。

A については、どなたが亡くなっても、年金の支払いが2か月分の後払いという仕組み上発生します。例えば、3月1日に亡くなった場合、4月15日の支払いは2月と3月分です。3月はたった1日しか生存していませんが2か月分を受け取ることができます。ただ、「生計を同じく」した権利者がいなければ受け取ることはできません。
 「生計を同じく」という独特の言葉がわかりにくいのですが、一般的には一緒に住んでいることが「生計を同じくする」ことだと思われるでしょう。この未支給年金の「生計を同じくする」というのは、一緒に住んでいなくても、どちらからか経済的な援助や交流があれば、「生計を同じくする」ということになります。亡くなった親に対して子が介護施設費を負担していた、又は亡くなった親から子に対して教育資金の援助がおこなわれていた等です。
 一定の遺族とはどの範囲までかというと、以前より少し範囲が広くなり、3親等以内の親族まで含まれるようになりました。例えば、子供の配偶者(嫁)、甥、姪、甥姪の配偶者、叔父、叔母、叔父・叔母の配偶者、孫の配偶者等です。数年前までは息子亡き後、義母の世話をしていた同居のお嫁さんさえ義母の未支給年金を受け取れなかったのです。

 近頃は一人暮らしの老人が亡くなることも多く、未支給年金の請求者がいないケースもあります。後見人がついていれば、死後の手続きまでされることもあるのですが、私も知らなかった次のようなことがありました。
 1月14日に死亡、2月15日に12月分と1月分の年金がすでに振り込まれている。未支給年金の請求者はいない。後見人が年金を管理していたので、「12月分はまだ生存しているので受け取れると思う、1月分が未支給年金だが、請求者がいないので国へ返還すればいいだろうか」と聞かれました。実際は、2か月分とも返還になるということでした。つまり、2月15日の振込日にはすでに死亡していたので、ありえない取引だという解釈ということでした。1月は生存していても受け取れないという法の規定に釈然としない思いでしたが、みなさんはどう考えますか?

回答者 特定社会保険労務士 堀江 玲子
老齢・遺族・障害年金・脱退一時金・労災・加入記録の調査、手続き等
堀江社会保険労務士事務所
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