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福岡!企業!元気!のための年金ワンポイント 《令和元年11月号》
年金と周辺知識(利用できる福祉的な制度のあれこれ  パート7)

今月号は、難病情報センターのHPから抜粋した情報と障害年金申請で経験したことを書きます。
「難病」とは次の4つを満たしたものと定義してあります。
発病の機構が明らかでなく
治療方法が確立していない
希少な疾病であって
長期の療養を必要とするもの
※患者数等による限定は行わず、他の施策体系が樹立されていない疾病を幅広く対象とし、調査研究・患者支援を推進するとなっています。
多くの難病の中でも医療費助成の対象となるものを「指定難病」と言います。次の2つの条件を満たさないといけません。
患者数が日本の人口の0.1%程度に達しない事(まれなことが条件となります)
客観的な診断基準(又はそれに準ずるもの)が確立していること

指定難病の助成を受けるには、特定医療費の支給認定申請書、診断書、住民票、課税証明書、健康保険証等を都道府県に提出し、審査を受けます。通れば「医療受給者証」が発行されます。更新は1年です。
治療の際、医療機関の窓口で提示すると、上限は所得階層で違いますが、外来・入院とも2割負担となります。
夫婦2人世帯で年収160万円〜370万円だと自己負担の上限が月10,000円です。
夫婦2人世帯で年収370万円〜810万円だと自己負担の上限が月20,000円です。

申請に関する手続きや情報は、大病院だとソーシャルワーカーが常駐していますので、お尋ねください。
九州大学病院内には福岡県の難病情報センターが入っていますので、様々な相談をすることもできます。

さて次に難病と障害年金の関係について私が経験したことを少しお話します。
現在のところ指定難病は333疾病ありますが、まったく聞いたことのない疾病がたくさんあります。
例えば、α1−アンチトリプシン欠乏症、カナバン病、クロウ・深瀬症候群、神経軸索スフェロイド形成を伴う遺伝性びまん性白質脳症、大理石骨病、ルビンシュタイン・テイビ症候群等です。
即、命に危険が迫る疾病は少ないようですが、個人の病院では詳しい検査ができないため、いくつかの病院を経て最終的に大きな病院にたどり着き、確定診断がなされる方が多いようです。
わたしが障害年金の申請を受けた難病では以下のようなものがあります。
潰瘍性大腸炎、クローン病、筋ジストロフィー、再生不良性貧血、シェーグレン症候群、重症筋無力症、進行性核上性麻痺、脊髄小脳変性症、全身性エリトマトーデス、全身性強皮症、先天性僧帽弁狭窄症、多発性硬化症、特発性間質性肺炎、肥大型心筋症、ベーチェット病、網膜色素変性症、モヤモヤ病

難病の障害年金申請について特徴的なこととしては、次のようなことが言えるかと思います。
@ 障害認定日請求ができなくて、多くが事後重症請求にならざるを得ない⇒徐々に症状が重たくなる方が多いので、初診日から1年半後の申請が可能になった時期に、まださほど等級に該当するほど重篤になっていない方が多い。又は、症状が出ても間違った傷病名がつけられ、正しい治療法が行われず時間がたってしまったケースも多い。
A 審査する側の日本年金機構にもあらゆる難病に精通した専門医がいないので、審査にかなり時間を要するケースが多いのです。サービススタンダードと言って、おおむね3か月で結果を出さないといけないとなっていますが、経験上難病の場合は4か月から半年ほどかかっています。請求者は首を長くして結果を待ち望んでいますが、最初から4〜5か月はかかると伝えています。
B 難病は目に見える障害ではないことが多いので、日常生活や労働にどれほど支障があるかを伝えることに工夫を要する場合が多いです。現在8種類の診断書があり、傷病ごとに使い分けるのですが、その方が不自由をしているところを一番証明してくれるふさわしい診断書がない場合もあり、受給権を得るために知恵を絞ります。

以上今回は難病と障害年金について述べました。

回答者 特定社会保険労務士 堀江 玲子
老齢・遺族・障害年金・脱退一時金・労災・加入記録の調査、手続き等
堀江社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士 堀江 玲子
福岡市早良区西新4-7-10西川ビル304
TEL092-836-8238 FAX092-836-8239
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