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福岡!企業!元気!のための年金ワンポイント 《令和7年3月号》
R6年11月号続編(透析による障害年金事例)

 今月は読み方は同じですが、実際は別傷病である『てんかん』と『転換性障害』を取り上げます。
 『てんかん』は、大脳細胞が興奮して過剰な放電をすることによって起こる反復性の発作を特徴としています。特発性と症候性に分かれ、特発性の場合は、遺伝的な要素が多く、症候性の場合は、脳しゅよう等の病気から起こることが多いようです。
 たまに自動車運転中にてんかん発作を起こし、交通事故を起こした等の記事を目にすることがあります。事故を起こしたこと自体は、責められて当然だと思いますが、生活の為持病を隠して働かないと、雇ってもらえない厳しい現実もあります。
 10社以上も短期間に転職していた男性の年金記録を見たことがありますが、尋ねるとほとんどの職場でてんかん発作を起こした為、首になったと言っていました。
 本人としては薬が効かなければどうしようもなく、どんなにつらいだろうと感じました。

 障害年金を受けることができるかどうかの判断基準は、次のようになっています。

てんかんの発作回数は、過去2年間の状態あるいは、おおむね今後2年間に予想される状態を記入する。
 A:意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作
 B:意識障害の有無を問わず、転倒する発作
 C:意識を失い、行為が途絶するが、倒れない発作
 D:意識障害はないが、随意運動が失われる発作
 医師が診断書にどのタイプかと発作の頻度を記入するようになっています。

 ちなみに2級は、十分な治療にかかわらず、てんかん発作のA又はBが年に2回以上、もしくは、C又はDが月に1回以上あり、かつ、日常生活が著しい制限を受けるものとなっています。

 私が扱った事例では、タイプAで週平均2〜3回の発作があり、薬があまり効かなかった難治性の方が2級となりました。

 精神障害を診断する国際疾病分類(ICD-10)によると、『てんかん』は、神経系の疾患で発作性障害に該当し、重度であれば障害年金が認められています。
 一方『転換性障害』は、神経症性障害、ストレス関連障害及び身体表現性障害というものに分類され、この傷病名だけで認められるのは非常に困難となっています。
 転換症状の代表的なものとしては、突然歩けなくなる、立てなくなる。声が出なくなる、けいれんが起きる、何も感じない・聞こえない・見えなくなる等の感覚麻痺がおこる人がいます。
 ただ、前提として症状を説明する身体疾患がなく、ストレスとなる出来事や対人関係上の心理的原因があるようなのです。
 過去に扱った例としては、元教師でしたが、職務のストレスにより精神的に追い詰められ、退職せざるを得なくなった方がいます。傷病名が「適応障害」「転換性障害」「てんかん」併記で2級となりました。

回答者 特定社会保険労務士 堀江 玲子
老齢・遺族・障害年金・脱退一時金・労災・加入記録の調査、手続き等
堀江社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士 堀江 玲子
福岡市早良区西新4-7-10西川ビル304
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