許認可事業のココロエ

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福岡!企業!元気!のための許認可事業のココロエ 《平成23年9月号》(創刊号)
トラック運送業の最低車両台数割れについて

【ご挨拶】
 行政書士という職業はどのようなことを業務としているのだろうと思われる方が多いと思います。
 実際行政書士の業務範囲は幅広く、皆さんいろいろな分野を自分の専門業務としています。
 例えば建設業許可等の許認可手続、外国人に関する手続、相続や遺言などの権利義務書類の作成など幅広い業務が行政書士の守備範囲です。
 私は許可・認可・免許・登録・届出という行政庁(お役所)に申請する業務を自分の得意分野としています。
 特に貨物運送業に関する手続きに力を入れており、許認可申請だけでなく、許可後の様々な手続きに対するアドバイスにも力を入れています。
 これから貨物運送業に関する情報を中心として、様々な許認可事業に関する情報を毎月発信していこうと思っていますので、お時間のある時にでも目を通していただけますと幸いです。

 2年ほど前からトラック運送業者(一般貨物自動車運送事業者)の最低車両台数割れが問題になっています。
 まずはこの問題から取り上げてみようと思います。

【最低車両台数とは?】
 一般貨物自動車運送事業の許可を申請するには、当然ですが許可要件を満たさなければ許可にはなりません。
 運行管理者がいること、整備管理者がいること、車庫や営業所があること、事業を行うにあたって必要な資金があることなどの様々な要件がありますが、ここに最低車両台数の要件があります。
 貨物運送業を行うには最低5台のトラックが必要なのです。
 ところが許可の最低条件である保有車両「5台」で許可を受けながら、事業開始後1台、2台と減車しトラック運送業者としての最低保有車両の基準である「5台」を割り込む事業者が増えているといわれています。

【最低車両台数を割るとどうなるのか?】
 最低車両台数は貨物自動車運送事業法等の法令に規定されているのではなく、許可基準の通達に規定されています。
 法律に規定されているのではなく通達に規定されているので、「法律違反」とはなりません。
トラックの増減車は届出事項であり、車両台数が5台を割り込んだとしても直接の行政処分はありません。
 5台を維持することに強制力はないのです。
 まるで許可の抜け穴のような感じですが、そう簡単にはいきません。

 国土交通省は、5両割れの状態となっている事業者は、社会保険等の未加入や法令知識の不足等があるとして、平成21年3月に提示された「事業用自動車総合安全プラン2009」の中に「貨物事業許可基準未満の事業者に対する集中的な監査」を盛り込み、これに基づき、5両割れ事業者の実態把握及び指導を目的として、平成21年6月に重点監査を実施しました。
 監査の重点項目としては
 @過労防止の実施状況、
 A健康状態の把握状況、
 B点呼の実施状況、
 C乗務等の記録・管理状況、
 D指導監督の実施状況、
 E社会保険等の加入状況などを挙げています。
 監査の結果、全国の5台未満の事業所のうち1018の事業所について調べたところ、741の事業所(72.8%)について点呼や健康状態の把握、乗務時間などで数々の違反項目が見つかったとのことです。
 これをうけて全国の運輸局は5両割れの事業者に対し、今後も重点的に監査を実施することとしていますので、5両割れということでの直接な行政処分はありませんが、運輸局に「目をつけられる」ということになってしまうのです。

【やむを得ない減車はどうなる?】
 しかし急な事故等で廃車しなければならなくなり、すぐには新車を購入することができないこともあると思います。
 このような場合も減車届出を受け付けてくれないのでしょうか?そんなことはありません。
 運輸支局もガチガチな対応ではなく、事情によっては柔軟に対応してくれます。
 福岡運輸支局では、最低車両台数5台を割る減車届出については、基準を割れることの事情や経緯等を聞き、許可基準に違反する旨や重点監査の対象となる旨の話もした上で、年度内等の一定期間内に増車をする計画とともに減車申請の受付に対応しています。
 減車後、期間内に増車申請等がなされない場合には、年度毎に対象事業者への文書発信を行い、今後の事業計画報告書の提出を求め継続調査を実施しています。
 やむを得ない場合は仕方がありませんが、公正な条件のもとで企業活動を行うにはすべての許可業者が基準を遵守することが大切です。
 しかし行政の方にも適切な対応を求めたいと思います。
 正直者が馬鹿を見るようなことはあってはならないと思います。

回答者 行政書士 久々宮典義
一般貨物運送業 建設業 建設関連業 産廃収集運搬業 宅建業などの各種許認可申請
くぐみや行政書士事務所  行政書士 運行管理者(貨物) 久々宮典義
〒815-0032 福岡市南区塩原3 丁目22-11 ラフォーレ大橋104
TEL 092-213-0606  HP : http://www.kugumiya.com/
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