許認可事業のココロエ

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福岡!企業!元気!のための許認可事業のココロエ 《平成24年6月号》
貸切バスの重大事故について

 今回は、平成24年4月29日に発生した、一般貸切旅客自動車運送事業者である有限会社陸援隊が運行する貸切バスが関越自動車道にて引き起こした重大事故をとりあげてみたいと思います。
 本来は5月1日施行の福岡県道路交通法施行細則の改正について取り上げる予定でしたが、次回以降に取り上げさせていただきます。

【 旅客運送業と貨物運送業】
 平成24年4月29日に発生した高速ツアーバスの事故は死者7名、重軽傷者39名という大惨事になりました。今回事故を起こした高速ツアーバスは定期路線バスと異なり、旅行会社が観光バスを借り上げて運行する「ツアーバス」です。
 許認可の分類では「一般貸切旅客自動車運送事業」という分類になります。路線バスは「一般乗合旅客自動車運送事業」、タクシー・ハイヤーは「一般乗用旅客自動車運送事業」というふうに「一般旅客自動車運送事業」のカテゴリーになります。
 私が専門としているのは「一般貨物自動車運送事業」というトラックの分類になります。
 根拠法令は、一般旅客自動車運送事業は道路運送法。一般貨物自動車運送事業は貨物自動車運送事業法と異なるのですが、管轄は国土交通省ですから事業者が遵守しなければならない事項は似たようなものです。点呼、適性診断、運転者台帳、安全教育、運転時間、運行指示書・・・これらはバスもトラックも守らなければならない事項です。
 そこで今回は、事故を起こした貸切バスの運行会社である有限会社陸援隊に関する国土交通省の特別監査の速報などを確認してみようと思います。

【 特別監査における法令違反が疑われる事項(速報) 】
 事故発生の翌日である4月30日には、国交省関東運輸局が有限会社陸援隊に特別監査に入りました。通常、事故を起こしてからある程度の時間が経過してから監査に入るのですが、今回の事故発生の翌日に監査に入るのは国交省としても重大事故であるとの認識が非常に  強いからであると思われます。また、4月30日には運行管理者である社長が不在だったこともあるでしょうが、まだ調べきれていないこともあったのか5月2日に再度監査が入っています。  監査の結果、法令違反が疑われる事項についての速報が国土交通省より発表されています。
・ 認可を受けずに車庫の新設・廃止を行っていた。
・ 発地及び着地のいずれもが営業区域外に存する旅客の運送を行っていた。
・ 名義を他人に一般貸切旅客自動車運送事業のために利用させていた。
・ 休憩又は仮眠のための施設の変更届出を怠っていた。
・ 乗務の記録が不適切であった。
・ 運行指示書を作成していなかった又は記載内容が不適切なものがあった。
・ 運区指示書について、乗務員の休憩地点及び休憩時間等に関する措置が不適切だった。
・ 日々雇い入れられる者を事業用自動車の運転者として選任していた。
・ 乗務員台帳の作成に不備があった。
・ 運転者の過労防止に関する措置が不適切なものがあった。
・ 運転者に健康診断を受けさせていなかった。
・ 運行管理規程の内容が一部不適切であった。
・ 点呼の実施及び実施結果の記録が不適切であった。
・ 運転者に対する輸送の安全確保についての指導監督の実施及び実施結果の記録が不適切であった。
・ 安全及び服務のための規程を定めていなかった。
・ 高齢運転者・初任運転者に対し、国土交通大臣が認定する適性診断を受けさせていなかった。
・ 運行記録計による記録を怠って運行していた事業用自動車があった。
・ 事故の記録について、事故の原因及び再発防止対策の記録をしていなかった。
・ 定期点検整備を実施していない事業用自動車があった。
・ 点検整備記録簿を保存していないものがあった。
・ 道路運送車両の保安基準に適合しない事業用自動車があった。

【 監査の速報を見て 】
 いかがですか?
 この内容について、バス会社やタクシー会社だけでなく、トラック運送会社も自社のことと思い、確認してみることをおすすめします。
 2000年の規制緩和以降、事業者が増加し、事業者間の競争がますます激しくなってきています。過当競争で旅行会社や荷主からの無理な料金設定を断れず、安全対策や法令遵守がおろそかになっているトラック会社やバス会社も多いと思います。
 私の経験上、ほとんどの零細事業者で陸援隊の違反事項と似たり寄ったりの会社が多いです。そのような事業者さんは、今回の事故を自社のものと考え、改めて法令遵守状況、安全対策状況などを見直してみてください。
 中小零細事業者の運行管理については、経営者の安全対策や法令遵守に対する姿勢が大きく左右します。事故を起こした会社の管理が杜撰だったのではなく、管理が杜撰だから事故を起こしているのです。事故を起こしてからでは遅いのです。

回答者 行政書士 久々宮典義
一般貨物運送業 建設業 建設関連業 産廃収集運搬業 宅建業などの各種許認可申請
くぐみや行政書士事務所  行政書士 運行管理者(貨物) 久々宮典義
〒815-0032 福岡市南区塩原3 丁目22-11 ラフォーレ大橋104
TEL 092-213-0606  HP : http://www.kugumiya.com/
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