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福岡!企業!元気!のための許認可事業のココロエ 《平成25年6月号》
派遣先が知っておきたい労働者派遣3

 前々回まで労働者派遣について記述してきましたが、前回は4月に施行された小型家電リサイクル法について記述しました。今回からは再び労働者派遣に関する事項を記述していこうと思います。
 今回からは、労働者派遣を受け入れるにあたってよく問題になってくる自由化業務の派遣受入期間について考えていきたいと思います。

【自由化業務の派遣期間について】
 前々回に労働者派遣には「自由化業務」と「政令26業務」があることをお知らせしました。
 このうち「政令26業務」については派遣受入期間に制限はありません。いつまででも派遣労働者を受け入れることができます。
 「自由化業務」については、最長3年であることは多少触れました。しかし本来は原則として派遣受入期間は1年で、それを超えるためには過半数労働組合(労働組合がない場合は過半数代表者)の意見聴取が必要です。

【派遣受入期間の考え方】
 労働者派遣の受入期間は、派遣先の事業所その他派遣就業の場所ごとの同一の業務について、継続して1年(最長3年)とされています。
 この「派遣就業の場所ごとの同一の業務」というのがポイントです。
 最長3年というのはこの「派遣就業の場所ごとの同一の業務」でカウントされます。

【派遣労働者を変えた場合はどうなるか?】
 例えばAさんが「派遣就業の場所ごとの同一の業務」で派遣労働者として勤務していた場合、3年を迎える前(例えば2年半経過後)にBさんに変更した場合、Bさんをまた3年派遣労働者として受け入れることが出来るでしょうか?
 答えは「否」です。Bさんは半年しか勤務できません。

 派遣労働者を受け入れることが出来なくなる日(抵触日)の前日までが派遣労働者を受け入れ可能な期間であり、派遣就業の場所ごとの同一の業務について、最初に派遣労働者を受け入れた日からカウントします。その期間は、派遣労働者を交代してもリセットされず、前後の派遣期間を通算されます。

【同一の業務とは?】
 「派遣就業の場所ごと」という言葉はそのまま支店や営業所などの事業所であることはすぐにわかりますが、「同一の業務」とはどのようなものなのでしょうか?

 「同一の業務」とは組織の最小単位で判断されることになっています。最小単位とは業務の指示者と指示を受けて業務を遂行する者のまとまりの最も小さいものを意味します。例として、班や課、グループといったイメージでしょうか。
 これらは名称ではなく実態で判断されますので、形式的に分けたグループや労働者の数が多いため労務管理上の理由で分けた部署等は同一のグループとみなされるでしょう。また、名称を変更して新しい班やグループのようにしたものも同一の業務とみなされるでしょう。
 しかし「派遣就業の場所ごと」に判断されますので、勤務する場所が変われば原則的には同一の業務と解釈されません。福岡支店から熊本支店に変更になった場合などです。

【終わりに】
 この「同一の業務」というものは解釈によっては同一とみなされることもあります。判断は非常に難しいと思いますので、判断に迷った時は都道府県労働局の担当部署に問い合わせたほうがよいでしょう。
 自分で判断する際も自分に都合よく解釈するのではなく、否定的に解釈していき、間違いのない判断をすることが重要だと思います。

回答者 行政書士 久々宮典義
一般貨物運送業 建設業 建設関連業 産廃収集運搬業 宅建業などの各種許認可申請
くぐみや行政書士事務所  行政書士 運行管理者(貨物) 久々宮典義
〒815-0032 福岡市南区塩原4丁目14番13号 ルネサス大橋101
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