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福岡!企業!元気!のための許認可事業のココロエ 《平成25年12月号》
一般貸切旅客自動車運送事業参入時の安全性チェックを強化

 10月号で一般貨物自動車運送事業の新規参入時基準の強化について取り上げましたが、 今回は一般貸切旅客自動車運送事業などの旅客自動車運送事業の参入時基準の強化にとりあげてみようと思います。
 9月号と10月号でもふれましたが、 これらの基準強化は小泉改革で実施された規制緩和が行き過ぎた規制緩和になり、 過当競争により労働者の待遇が悪化し、 また運送事業が最も大切にしなければならない安全が疎かになってしまった為になされるものと私個人は理解しています。

【参入基準強化の背景】
 国土交通省では、昨年 4 月に発生した関越道高速ツアーバス事故を受けて策定した「高速・貸切バスの安全・安心回復プラン」に基づき、一般貸切旅客自動車運送事業の参入時において安全性のチェックを強化するため、10 月 31 日付けで告示・通達の措置を行いました。
 記憶にも新しい関越道の高速ツアーバスの事故が規制強化の原因です。どのような業界でもそうですが、大きな事故が発生したり、社会問題化すると規制が強化されます。

【具体的な強化基準について 】
 @ 貸切バス事業の新規許可時に実施する法令試験について、受験対象者を代表権を有する常勤役員に限定する、合格基準を 80%の正答から 90%に引き上げる、出題数を30問から40問以内とする、出題形式の変更、不合格時の再試験は 1 回として再試験に不合格となった場合には許可申請を却下するといった厳格化を図ることとなりました。
 試験問題を見たわけではありませんが、難易度は非常に高くなってきていると思われます。
 A 貸切バス事業許可後の運輸開始届出時に、運行管理者及び運転者の雇用契約が確認できる書面の添付が義務化されました。
 B これまで写真の義務付けなど書類チェックにより確認していた、営業所や車庫、点呼場所、休憩所、 洗車設備、 前面道路などの施設の設置状況等について現地調査等を実施することとなりました。
 C 貸切バス事業の安定的な経営を行う観点から、土地費及び建物費並びに車両費の事業開始当初に必要とされる資金確保の基準を 2 ヶ月分のローン支払い金又はリース料から 6 ヶ月分に引き上げることとなりました。
 D 貸切バス事業者が事故発生時に確実な賠償を行い、被害者保護を図る観点から、貸切バス事業者が旅客の生命等の損害を賠償するために締結すべき損害賠償責任保険 ・ 共済の賠償限度額を対人 8,000 万円以上から対人無制限に引き上げることになりました。

【タクシー減車法が成立 】
 貸切バスとは異なりますが、都市部の過剰なタクシーの台数を減らすことを義務づける改正タクシー適正化・活性化法が 11 月 20 日の参院本会議で自民、公明、民主3党などの賛成多数で可決、成立しました。
 台数が多すぎるとされる東京23区や各地の県庁所在地などの都市部を、政府が「特定地域」に指定し、タクシー事業者による新規参入や増車を一定期間禁止するという内容です。
 地域内のタクシー会社や地方自治体などで作る協議会の決定で、各社一律にタクシー台数を減らしたり、営業時間を制限したりすることも可能となるようで、従わない事業者には国土交通省が営業制限を勧告・命令できることとなるようです。
 施行は来年以降になるようです。

【これから求められるもの 】
 トラックも貸切バスもタクシーも新規に事業を開始しようとする人には、大変厳しい基準強化となってきました。行き過ぎた規制緩和は是正されるべきと思いますし、事業者数が適正になることにより、労働者の待遇が改善され、安全がより確保されることが期待されますが、基準強化により競争原理が働かなくなるような規制は消費者のためになりません。
 国には安全が確保され、消費者の利益にもつながるような業界の適正水準の見極めや舵取りが求められていると思います。

回答者 行政書士 久々宮典義
一般貨物運送業 建設業 建設関連業 産廃収集運搬業 宅建業などの各種許認可申請
くぐみや行政書士事務所  行政書士 運行管理者(貨物) 久々宮典義
〒815-0032 福岡市南区塩原3 丁目22-11 ラフォーレ大橋104
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