許認可事業のココロエ

                     前へ<<               >>次へ
福岡!企業!元気!のための許認可事業のココロエ 《平成27年4月号》
「みんなのUBER」の中止指導について考える

 「みんなの UBER」 というのをご存知でしょうか?アメリカの新興企業ウーバーテクノロジーズの日本法人であるウーバージャパンが福岡市で九州大学の関連法人「産学連携機構九州」と提携して実験していた「ライドシェア」という一般ドライバーの乗用車に相乗りするシステムです。これが道路運送法に抵触する可能性が高いということで国交省から中止の行政指導を受けました。今回はこの中止の行政指導について考察してみたいと思います。

【 UBERとはどうのようなことをしていたのか? 】

 このウーバーテクノロジーズはアメリカの企業でサンフランシスコを拠点としている企業です。ウーバーは2013年に東京で配車サービスを開始しており、旅行代理店として登録されているようです。そしてタクシーなど営業許可をもつ事業用自動車のドライバーを手配するというサービスをしているようです。これであれば旅行会社が観光バスなどを手配するのと同じで、道路運送法に抵触することはなさそうです。旅行業法の範囲になりそうです。
 今回国土交通省から中止の指導を受けた「ライドシェア」の実験は以下のようなものでした。2015年2月から福岡市で開始。利用者がスマートフォンのアプリで、場所を指定して配車を依頼すると、付近にいるウーバーに登録された一般ドライバーが迎えに来て、目的地まで送るというものです。

【 何が問題なのか? 】

 一言で言うと「道路運送法に抵触(違反)している」ということです。では具体的にどのように違反しているかというと、道路運送法では「有償の旅客運送」は許可が必要だということで、タクシーでは「一般乗用旅客運送事業許可」が必要です。
 今回の実験では利用料は無料となっていましたが、実験データの提供、ガソリン代、通信費の実費として対価をドライバーに払っていました。ウーバー側は輸送自体に対価を支払うのではなく、実験のデータ取得に対して対価を支払うと主張し、顧客からドライバーへ報酬の受け渡しはないと説明していたようですが、実際同社の求人サイトなどで「自分の車で稼げる」としてドライバーを募集していたようで、一日1万円くらい稼いでいたドライバーもいたようです。
 会社からでも顧客からでも実態として何らかの形でドライバーに報酬が支払われていたら、その運送は「有償」だと判断されると思います。一日1万円を稼げば週5日で5万円、月20万円にもなります。これで無償と言うのは厳しいと思います。無償であれば本当に最小限の実費相当額だけのはず。これでは「相乗り」には程遠いのではないでしょうか。
 このことにより、国交省はこの実験は「有償の旅客運送」に該当する可能性が高いとして中止の行政指導をしたようです。いわゆる「白タク」に該当するということです。

【 この行政指導について思うこと】

 私としては「相乗り」ということは否定しません。高齢化の進んだ過疎地域で公共交通機関の便数も少ないところでは「相乗り」はとても重要な住民の足になっているでしょう。
 しかし公共交通機関も発達した福岡市内であれば、わざわざこのようなことをするということは新しい業を始めようとしているとしか考えられません。東京でやっているようにスマホでの配車アプリであれば問題はないし、国交省も配車アプリという新しいサービスは大歓迎でしょう。
 国交省が求めているのはズバリ「安全」 。
 今回のケースでは保険の問題や事業者とドライバーとの契約関係も曖昧なままのようです。特に保険の問題は重要です。自家用自動車の保険を事業に使用していて事故を起こした場合、保険金が出るでしょうか?保険は自家用と事業用では保険料も違うはずです。
 国交省は関越道で発生した高速ツアーバスの事故から旅客運送業、貨物運送業ともに。安全の確保のために規制を強化しています。運送事業者は安全の確保のために様々な教育や指導、設備投資をしているのです。そのようなことをせずに二種の運転免許も持たずに他人を輸送して報酬を得ることを認めれば、運送業の根幹が揺らぐことにもなり兼ねません。
 なお、今回同社は実験を中止しましたが、行政指導を無視して続けた場合、ウーバー側は運送事業者ではないので、行政処分を受けることはないと思われますが、ドライバー側は自家用車の使用停止の処分を受ける可能性があります。
 法律が古いという意見もあるかもしれませんが、利用者の利便や安全の確保ということは新しいサービスでも時代が変わっても変わることはありません。ウーバー側も今回の指導と実験の結果を受けて、法令の範囲内で、利用者の利便と安全を確保できるサービスを構築していただきたいと思います。

回答者 特定行政書士 久々宮典義
一般貨物運送業 建設業 建設関連業 産廃収集運搬業 宅建業などの各種許認可申請
くぐみや行政書士事務所  特定行政書士 運行管理者(貨物) 久々宮典義
〒815-0032 福岡市南区塩原3 丁目22-11 ラフォーレ大橋104
TEL 092-213-0606  HP : http://www.kugumiya.com/
                     前へ<<               >>次へ
許認可事業のココロエリストに戻る