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福岡!企業!元気!のための許認可事業のココロエ 《平成30年8月号》
貨物利用運送事業について2

 前回から私の専門である一般貨物自動車運送事業(トラック事業)に関連する事業として、貨物利用運送事業の法律上の根拠や、利用運送と取次の違いなどを説明してきました。今回は貨物利用運送事業の許認可上の種類と、その事例をご紹介していきたいと思います。

【 貨物利用運送事業の種類とは 】
 貨物利用運送事業には「第一種貨物利用運送事業」と「第二種貨物利用運送事業」の2種類があります。
 許認可上は、第一種は登録、第二種は許可制になっています。
 どちらも申請先は地方運輸局で、具体的には運輸支局に申請書を提出することになっています。(一部例外あり)

 貨物利用運送事業法では以下のとおり記載されています。(一部省略)

 第2条(定義)
 1〜6略
 7 この法律において「第一種貨物利用運送事業」とは、他人の需要に応じ、有償で、利用運送を行う事業であって、第二種貨物利用運送事業以外のものをいう。
 8 この法律において「第二種貨物利用運送事業」とは、他人の需要に応じ、有償で、船舶運航事業者、航空運送事業者又は鉄道運送事業者の行う運送に係る利用運送と当該利用運送に先行し及び後続する当該利用運送に係る貨物の集貨及び配達のためにする自動車(道路運送車両法第二条第二項の自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車を除く。)をいう。以下同じ。)による運送(貨物自動車運送事業者の行う運送に係る利用運送を含む。以下「貨物の集配」という。)とを一貫して行う事業をいう。

 第二種以外が第一種となっていますね。第一種がどのようなものかを理解するには第二種を理解する必要がありますが、ちょっと色々と書いていてわかりにくいですね。

【 第二種貨物利用運送事業とは 】
 条文の記載だとわかりにくいので、少し簡単に図で表現してみると以下のような感じになります。
                → 発港  → フェリー → 着港 →
 集荷先→トラックで集荷 → 発空港 → 飛行機 → 着空港 → トラックで配達→配達先
                → 発駅  → 貨物列車 → 着駅 →
 このように集荷先から配達先まで、一貫して運送サービスを行い、一貫して運送責任を負うサービスを提供する事業が第二種貨物利用運送事業になります。ドア・ツー・ドアの輸送サービスを提供するということですね。

 上記の集荷と配達の片方が欠けてしまう場合は、第二種貨物利用運送事業に該当せず、第一種貨物利用運送事業になります。
 例えば、フェリーを利用して外国に荷物を輸送するサービスで、集荷先から港まではトラックを利用し、そこから外航海運業者のフェリーを利用して外国の港まで輸送する。しかし外国の港から配達先までは配達をしない場合、第二種貨物利用運送事業に該当せず、第一種貨物自動車利用運送事業の登録と、第一種外航利用運送事業の登録をするということになります。

 上記の図でフェリー、飛行機、貨物列車の部分を「幹線輸送」と言いますが、この「幹線輸送」があることもポイントです。
 前述の条文を見ていただいたらわかりますが、「船舶運航事業者、航空運送事業者又は鉄道運送事業者の行う運送に係る利用運送と当該利用運送に先行し及び後続する当該利用運送に係る貨物の集貨及び配達のためにする自動車による運送とを一貫して行う事業」となっています。
 幹線輸送に鉄道も飛行機も船舶も含まれない場合も第二種貨物利用運送事業に該当しません。
 なお、自動車での集配については、自ら運送する場合と他社に委託する場合の両方が含まれます。

 この集荷または配達をする自動車については、前述の条文にあるとおり「道路運送車両法第二条第二項の自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車を除く。)をいう。」となっていますので、軽自動車で集荷・配達をする場合は貨物利用運送事業法上の規制は受けません。
 例えば、軽貨物 → 鉄道 → 軽貨物 のパターンで利用運送をする場合、第二種貨物利用運送事業には該当しませんが、幹線輸送の鉄道の部分で第一種鉄道貨物利用運送事業の登録は必要になります。

回答者 特定行政書士 久々宮典義
一般貨物運送業 建設業 建設関連業 産廃収集運搬業 宅建業などの各種許認可申請
くぐみや行政書士事務所  特定行政書士 運行管理者(貨物) 久々宮典義
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