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□■□ 『中小企業のための経営支援情報』第20号 □■□
福岡☆リスク法務実務研究会
◇◆◇ 円高と外貨建て金融商品 ◇◆◇

 為替市場で米ドル・ユーロに対する円高が進んでいます。
 トヨタ自動車は対ドルで1円の円高になると300億円の損失が発生し、ソニーも対ユーロで1円の円高につき70億円の利益が吹き飛ぶといわれています。
 金額のケタが大きすぎて「遠い世界」のような気がしますが、私が着ている量販店の格安のスーツも、昨日食べた牛丼の肉も、そして営業で乗り回している自動車のガソリンもいわゆる「舶来もの」であり、為替の影響を少なからず受けているわけです。

 日本銀行が発表した資金循環統計によると、2010年3月末現在での個人の金融資産は1452兆円であり、その中に占める外貨建て商品(預金、証券、投信)への投資額は43.6兆円と全体の約3%を占めます。
 個人金融資産がほぼ横ばいで推移しているのに対し、外貨建て商品への投資額はこの10年で4倍に膨れ上がっています。

 「外貨建て金融商品」を保有するメリツトとして、(あくまで個人的な考え方ですが・・・)

 1 通貨分散(円の信用力に対する問題が起こった時に備える)。
 2 高い利率の金融商品で運用する。
 3 為替差益が期待できる

などが考えられますが、その裏側にあるマイナスのリスクについても充分な理解が必要です。
 どれだけ外貨ベースで資産が増えたとしても、換金時の為替レート次第では元本割れが起きる可能性があります。
 また為替以外のリスクが少ないとされる「外貨預金」はペイオフの対象外であり、金融機関破綻時の保障はありません。

 低金利状態が長引き、「円建て金融商品」の魅力が薄れる中、15年ぶりの円高水準(対ドル)は「外貨建て金融商品」を始める契機とも言えます。
 現在の為替レートだけに捉われず、高い利率だけに惑わされず、余裕資金の中から始めてみてはいかがでしょうか。

AFP 江口信也

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◇◆◇リスク法務実務研究会 オープン講座ご案内◇◆◇

 日時  平成22年9月29日(水)18:00〜20:00
 場所  あすみんセミナールーム(福岡市中央区大名2-6-45:青少年センター5F)
 講師  1弁護士堀繁造、2特定社会保険労務士安藤政明(各50分程度)
 テーマ 未定(1、2とも労働法関係の予定)
 定員  30名
 参加費 1,000円
 懇親会 会場・会費未定(会費4,000円程度を予定)
 申込み 事前登録が必要です。
1氏名、2職業、3連絡先(電話&メール)、4懇親会出席の有無、を明記して、      FAX 092-738-0888 又は E-mail m.ando@orion.ocn.ne.jp まで
    ※9/17〆切:〆切後は申し訳ございませんが理由の如何を問わず受付致しません。
    ※9/17〆切前でも、定員に達した場合は受講できませんので、ご了承下さい。
    ※9/27以降の懇親会キャンセルは、実費をご負担いただきます。

《執筆メンバー》  弁護士2、税理士2、社会保険労務士4、行政書士3、司法書士1、弁理士1、不動産鑑定士1、ファイナンシャルプランナー2、保険代理業1(計17名) ■発 行  福岡☆リスク法務実務研究会
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□■□ 『中小企業のための経営支援情報』第19号 □■□
福岡☆リスク法務実務研究会
◇◆◇ 福岡県暴排条例について ◇◆◇


 弁護士の小川です。
 ちょっと前になりますが、相撲協会と暴力団の関係は、連日、報道を賑わせました。
 お相撲さんが野球賭博をやっていたということで、相撲協会をクビになったり、NHK中継がなくなったりと、ちょっとした騒動になりました。
 個人的な感想としては、賭博は確かに刑法に反しますが、自分の金で賭け事に負けても誰にも迷惑はかかりませんし、この力士は、本業である相撲で八百長や賭博をしたわけではありません。
 競艇、競馬で大金をつぎ込むのとどこが違うのか、クビにすることか、という思いはあります。

 この問題の本質は、端的には、その賭け事に暴力団が絡んでいる、ということです。
 そして、現在の社会は、暴力団との関係を持つことが極めて許されないことと評価されている、ということです。
 このような社会情勢もあり、福岡県では暴力団排除条例が定められています(平成22年4月1日から施行されています)。
 この条例が特徴的なのは、暴力団を利用、あるいは利益供与等をした「市民・企業」を対象に罰則を設けているのです。

 例えば、みかじめ料をとった暴力団員が問題とされるだけでなく、みかじめ料を支払った「企業・市民」側も、暴力団を背景に経済活動をしているとして暴力団排除条例違反となる可能性があるのです。
 みかじめ料を支払った程度でも、氏名・企業名の公表のペナルティの可能性もあります。
 もし企業名が公表されると、その企業の顧客はどうするでしょうか?  大きな企業リスクとなりそうです。

 

 繰り返しになりますが、社会として、暴力団と関係があること自体が問題とされる時代なのです。
 もし、不当要求を受けている場合はもちろん、不当要求に屈してみかじめ料を支払っている、あるいは暴力団を利用して経済活動を行っている、ということでお悩みでしたら、早急に警察、暴追センター、弁護士に相談されることをおすすめします。

 

弁護士 小川 剛

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《執筆メンバー》  弁護士2、税理士2、社会保険労務士4、行政書士3、司法書士1、弁理士1、不動産鑑定士1、ファイナンシャルプランナー2、保険代理業1(計17名) ■発 行  福岡☆リスク法務実務研究会
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□■□ 『中小企業のための経営支援情報』第18号 □■□
福岡☆リスク法務実務研究会
◇◆◇ 定款の重要性 ◇◆◇


 会社を設立する時に必ず作成する「定款」。
 定款は会社の憲法とも証されています。

 従来は、一定の雛形に従い、社名、会社の目的、本店所在地等をそれぞれの会社に応じて書き込めば、それが会社の定款として大切に保管され、あたかも「他社と同じことに価値がある」かのようにされてきました。
 しかし、平成18年5月の会社法の改正により、その考えは一蹴されました。
大改正の主軸とも言える「定款自治」により、従来型とは異なり、「他社と違うことに価値がある」ものとして位置づけられるようになりました。
 「定款自治」により、自分たちで、自分たちの会社に適合するように自由にその内容を定める事ができることになったため、その自由度は格段に増しました。

 最近では、定款の前文として「企業理念」を盛り込む会社もあります。
 他社と同じようにしていたために不都合を知らずに引きずっていたり、良かれと思って想定していたことが逆に作用しているということも起こっています。
 現在は平和であっても、いざ、会社の役員や、大株主等に相続や内紛が起きた際に初めてその定款では対応できないという事に気づくかもしれません。
 もめごとが起こってからでは、定款の変更は容易ではありません(定款の変更には株主総会の特別決議が必要)。

 たとえば、オーナー株主に相続が生じた場合に、法定相続人間で株の帰属についてもめる可能性はないかや、役員の任期を延ばした(10年まで伸長可能)場合に、解任による損害賠償請求を受ける可能性、株式が分散した場合に株主代表訴訟の可能性が高まることへのリスク等の経営課題を事前に把握することは非常に重要なことです。
 会社法施行から4年と数カ月が経過しました。
 定款を使いこなす会社とそうでない会社とでは、既に明確な格差が付いているかもしれません。
 将来起こり得るリスクに備え、会社法を積極的に活用し、経営戦略を踏まえた定款を作成していくことがますます重要となっていくでしょう。

司法書士安藤功(福岡県司法書士会)

 
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《執筆メンバー》  弁護士2、税理士2、社会保険労務士4、行政書士3、司法書士1、弁理士1、不動産鑑定士1、ファイナンシャルプランナー2、保険代理業1(計17名)  ※第二巡より、執筆メンバーに社会保険労務士大橋正郎が参加致します。
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□■□ 『中小企業のための経営支援情報』第17号 □■□
福岡☆リスク法務実務研究会
◇◆◇ 所在不明100歳以上高齢者問題 ◇◆◇


 リスク法務実務研究会のメルマガご愛読有難うございます。
 お陰様で、メルマガ執筆メンバー16名が一巡し、二巡目に入ります。
 引き続きよろしくお願い致します。

 ここ1カ月くらい、100歳以上の所在不明高齢者問題のニュースがガンガン紹介されています。
 そして、その多くのケースに、年金不正受給問題が絡んでいます。
 市町村関係者だけでなく、年金関係者の対応にも問題があります。

 現在は100歳以上ということで確認がすすめられています。
 しかし、絶対に70代〜90代の所在不明高齢者も存在すると推測します。
 年金受給者については、毎年1回は必ず行政窓口での現況確認が必要だと考えます。
 もちろん、傷病等で出頭できない者については、自宅又は病院等に職員が訪問面談して確認すべきでしょう。
 確認ができない限り年金は支給停止することで、現在の所在不明高齢者問題の一定割合は解決するでしょうし、なんといっても年金不正受給(詐取)事件を減らすことが可能となります。

 そうでなくても年金には原資の財源問題があります。
 不正受給者に給付した年金のほとんどは、返納されるないことでしょうから、この費用の負担も国民全体が負わされていることになります。
 とても看過できる問題ではありません。

 年金不正受給に限らず、失業等給付、各種助成金等の不正受給者も含め、全額返納の強制はもちろん、詐欺罪で刑事告発まですべきでしょう。
 そうでもしないと、不正してばれなければ得をするという、歪んだ社会を助長してしまいます。

特定社会保険労務士 安藤 政明

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□■□ 『中小企業のための経営支援情報』第16号 □■□
福岡☆リスク法務実務研究会
◇◆◇ 慰謝料について ◇◆◇


 

 人は,社会生活を営んでいくうえで,自分の意思により,あるいは自分の意思とはかかわりなく,様々な事件に巻き込まれることがあります。
 そして,事件を起こすと,その事件に対する責任が問題となります。
 ここでいう責任には,道義的責任,民事責任,刑事責任などがあります。
 民事責任としては,損害賠償責任が問題となることが多いと思われます。
 ここでいう損害にはいろいろなものが含まれますが,中でもよく聞くのが慰謝料ではないでしょうか。

 では,慰謝料とは一体何なのでしょうか。
 その本質について,様々な見解があり,大別すると,慰謝料を一種の私的制裁として考える説(制裁説),精神的苦痛など無形の損害に対する賠償として考える説(賠償説)などがありますが,慰謝料には両方の性質があると言っていいと思います。
 最も問題となるのが慰謝料の額です。
 慰謝料の額については,法律で基準が定められている訳ではないので,認められる額は事件によって千差万別です。
 ただ,これまでの裁判例の蓄積などにより,ある程度の相場(?)が形成されています。

 具体例をあげてみましょう。
 日本で起きる事件の数が最も多いのは交通事故です。
 交通事故の場合の慰謝料は,大きく分けて,死亡した場合の慰謝料,けがをして入通院したことに対する慰謝料,後遺障害に対する慰謝料の2つに分かれます。
 死亡した場合の慰謝料は,一家の大黒柱の場合で2800万円〜3000万円程度,その他の場合で2000万円〜2400万円というのが一応の目安とされています。
 入通院した場合の慰謝料は,入通院した日数を基準として決めますが,例えば,けがをして1カ月入院し6カ月通院した場合ですと,慰謝料の額は149万円程度というのが一応の目安です。

 1年以上入院しますと,それだけで慰謝料が300万円を超えることもあります。
 後遺障害に対する慰謝料は,後遺障害の程度によって異なります。
 交通事故の場合,後遺障害の等級が1級〜14級に分かれていて,1級2800万円〜14級110万円が基準とされています。
 例えば,片眼を失明したときは,後遺障害8級に該当し,慰謝料額は830万円が基準となります。
 比較的多く見受けられるむちうち症は,局部に神経症状を残すものとして後遺障害14級に該当することが多く,慰謝料額は110万円が基準となります。

 ほかの事件で慰謝料が問題となることが多いのが,離婚の慰謝料でしょう。
 これも事件によって認められる金額は千差万別ですが,夫が不貞を働いたことが離婚原因とされた場合の慰謝料額としては,300万円〜400万円というのが最も多いと思われます。
 ただし,婚姻期間の長さや経済状態,婚外子の有無などによって慰謝料の額は大きくなることがあり,中には1500万円もの慰謝料が認められたケースもあります。

 何か事件を起こせば慰謝料を含め多額の損害賠償を求められることがあることを肝に銘じ,注意して生活してください。

 

弁護士 堀 繁造

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□■□ 『中小企業のための経営支援情報』第15号 □■□
福岡☆リスク法務実務研究会
◇◆◇ 年金受給権と課税 ◇◆◇


『画期的判決が長年の課税実務を否定』

 「年金受給権」に相続税を課税し、「年金」に所得税を課税することは違法な二重課税である。

 去る7月6日、最高裁において判決が言い渡されました。

 本件は、原告の夫が締結した年金払い特約付の生命保険契約に基づいて支払われた年金(生活保障特約年金)が雑所得として所得税が課税されたことに起因したもので、一審の長崎地裁では原告(納税者)を支持する判決、これを受けて国側が控訴、二審の福岡高裁では逆転して国側の主張を認める判決でした。

 

 最高裁は、二審の福岡高裁判決を破棄するとともに、国側の控訴自体を棄却する判決を言い渡しました。

 最高裁は判決理由で「年金の各支給額のうち、将来支払われる年金額の現在価値に相当する部分は、相続税の課税対象となる経済的価値と同一である」として、課税当局が、相続で取得した年金受給権と実際に支払を受けた年金とは別のものであるとして長年行ってきた課税実務を否定する厳しいものでした。

 なお、この判決を受けまして野田財務大臣は、同種の年金に係る徴収済みの税金について、速やかに還付し、更正の期間制限(5年)を超える部分についても、法的措置による還付を検討すること、また、他の金融商品についても二重課税がないかを調査し、問題があれば23年度の税制改正で対応することを表明しました。

 過去の相続税申告等でお心当たりのある方、または、現在その種の保険契約ないし金融商品を保有されていらっしゃる方は、最寄りの税理士・税務署・生命保険会社等にご相談されることをお勧めします。

税理士 服部康太郎

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□■□ 『中小企業のための経営支援情報』第14号 □■□
福岡☆リスク法務実務研究会
◇◆◇ 改正貸金業法について(借り手保護と銘打ったが仮題も…) ◇◆◇


 平成22年6月18日に改正貸金業法が完全施行されました。
改正点のポイントを簡単にお知らせ致します。

1 純資産が「5,000万円以上」の貸金業者でなければ、貸金業を営むことができなくなった。
 また、法令順守のための助言、指導を行う「貸金業務取扱主任者」について、資格試験を導入し、合格者(主任者登録を受けた者)を営業所ごとに配置することが義務化。

2 貸金業者の行う様々な行為についての規制
 1.夜間に加えて、日中の執拗な取立規制を強化
 2.貸金業者が、借り手等の自殺により保険金が支払われる保険契約を締結することを禁止
 3.公正証書作成にかかる委任状の取得を禁止。
利息制限法の金利を超える貸付けの契約について公正証書の作成の嘱託を禁止
 4.連帯保証人の保護を徹底するために、連帯保証人に対して、催告・検索の抗弁権がない説明を義務付け
 5.貸付けにあたり、トータルの元利負担額などを説明した書面の事前交付を義務付ける

3 規制違反に対して機動的に対処するため、登録取消や業務停止に加え、「業務改善命令」が導入。

4 ヤミ金融に対する罰則の強化(懲役5年→懲役10年)
 ※超高金利の貸付けや無登録営業などが該当

5 上限金利は、貸金業法上の「みなし弁済」制度(グレーゾーン金利)を廃止し、出資法の上限金利20%に引き下げ。
 また日賦貸金業者及び電話担保金融の金利の特例(年54.75%)を廃止。

6 指定信用情報機関制度を創設し、借り手ごとに、信用情報機関において借入総額を把握して、過剰貸付けを禁止する仕組みを導入。
貸金業者が個人へ貸し付ける場合には、指定信用機関の信用情報を利用した返済能力調査が義務化。
 また個人への貸付けについて、自社からの借入残高が50万円超となる貸付け、または、総借入残高が100万円超となる貸付けの場合には、貸金業者に年収等を証する資料の取得が義務付け。

 調査の結果、総借入残高が年収の3分の1を超える貸付けを原則禁止するなど、債務者の返済能力を超える貸付けを禁止し厳格な総量規制を導入。

 以上が、今回の改正点の大きなポイントです。
 借り手側の中小の企業経営者や個人事業主に関しては、多くの貸金業の母体が銀行ということもあり、融資姿勢に影響が出てきているのが現状です。
 会社の規模が小さくなればなるほど、貸金業者からの借入が大きくなっているので、審査の厳正化に伴い追加借入が困難になり、事業の資金繰りへの影響も懸念されます。
また、個人に関しても、「優良顧客」にしか貸し出さない傾向になっていき、生活に密着した借りたい理由(養育費、レジャー、冠婚葬祭、医療費等)では、40%程度の人が希望額を借りることができない現状で、年収の少ない人ほど影響が出て、自己破産の増加等が今後の課題です。
 貸金業者側も改正に伴う新たなコスト増による経営圧迫、また新規参入のハードルが高くなり、業界が活性化しないということ、普段の業務の事務処理の煩雑さの増加等などが挙げられます。

行政書士 和田 好史

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◇◆◇ 新保険法による契約者保護 ◇◆◇


 

 平成22年4月1日に新保険法が施行されました。
 契約者保護が強く前面にだされています。

(1)告知義務
 保険契約に加入する際には、保険契約者または被保険者は、保険会社に対して告知をする必要があります。
 この告知は、支払事由(被保険者の死亡等)の発生の可能性に関する重要な事項のうち保険会社が告知を求めた事項について、保険契約者等が回答する形で行うことになっています。

(2)告知義務違反による解除
 保険契約者等が故意または重大な過失により告知義務に違反した場合には、保険会社は、保険契約を解除することができます。
 但し、故意または重大な過失による告知義務違反があった場合であっても、保険契約の締結時に保険会社がその事実を知っていたかまたは過失によって知らなかったときは、保険会社は保険契約を解除することはできません。
 また、募集人等の保険媒介者が保険契約者等の告知を妨害したり、保険契約者等に対して告知義務違反を勧めたりしたときにも、保険会社は解除をすることはできませんが、そのような行為がなかったとしても告知義務違反があったであろうと認められる場合には、解除をすることができます。
 さらに、保険会社が解除の原因があることを知ってから1ヶ月間解除をしなかったときまたは保険契約締結の時から5年を経過した時は、解除をすることはできません。

(3)解除の効力
 告知義務違反によって保険契約が解除された場合には、その効力は将来に向かってのみ生じますが、それまでに発生した支払事由について、保険会社は保険金を支払う必要はありません。
但し、告知されなかった事実と支払事由の発生との間に因果関係がない場合には、保険会社は保険金を支払う必要があります。

(4)片面的強行規定
 保険会社が保険契約を解除できる期間についての規定を除いて、上記(1)から(3)までの規定は片面的強行規定であり、保険法の規定よりも保険契約者等に不利な内容の約款の定めは無効となります。
(ただし、これは個人に対してで、企業分野の保険は、適用が除外されています)

 今までに無かった、契約者に不利な特約を無効とする強行規定は、契約者保護を一段と明確にしたモノといえます。

株式会社エス・エイチ・イー・ライン 代表取締役 鷹尾 敏裕

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◇◆◇ 賃金不払い残業と労働時間 ◇◆◇


 労働基準監督署(以下、「労基署」)に不服を申し立てる労働者が増えている。
 厚生労働省によると、昨年の労基署への申告件数は4万2472件。
 申告件数は前年と比べ8.1%増と3年連続で増えた。
 理由別にみると、最も多いのは賃金不払いで3万4597件(次に多いのは不当解雇8,869件)。
 この他、賃金が最低賃金を下回っていたというケースも。

 賃金不払いに関しては、景気の悪化により通常の給料自体が払われない場合と、残業代が払われない場合がある。
 賃金の支払いは雇用契約における事業所側の最大の義務である。
 通常の賃金を支払わないということは、よほどひっ迫した状況である。
 労働者の申告により、監督官の臨検調査により是正勧告を受けても、是正できる状況ではない可能性もある。
 残業代に関しては、同様にひっ迫していて払えないケースもあるが、「敢えて払わない」ケースも多い。
 ひと昔まえまではサービス残業も当たり前で、さほど疑問に思われないような社会背景があったが、今は昔のこととなった。
 在籍中は会社と争いたくないのでおとなしくしているが、退職時に遡って残業代支払いを要求し、支払われないなら労基署などに駆け込む者が増加した。

 残業代は、払うしかない。
 ある程度の残業時間が見込まれる場合は、定額時間外手当を設定する方法は有効である。
 しかし、長時間労働も過重労働として問題となることを考えると、最終的には労働時間短縮に取り組むことが最善策といえるだろう。
 残業代の心配をするよりも、残業そのものを減らす努力が必要なのである。

 

特定社会保険労務士 箭川 亜紀子

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福岡☆リスク法務実務研究会
◇◆◇ 中小法人等の青色欠損金の繰戻還付 ◇◆◇


 青色申告法人において欠損金が生じた場合,法人税法上,繰越控除と繰戻還付の制度が設けられています。
 青色欠損金の繰越控除は,皆さんよくご存知だと思われますが,これとは別に,繰戻還付という制度があります。
 この繰戻還付の規定は前からあったのですが,租税特別措置法で所定の欠損金額については,その適用が停止されています。
 ところが,平成21年度の税制改正により,中小法人等の欠損金額については,不適用措置の対象から除外され,繰戻還付の規定を適用できることとなりました。

【中小企業者等以外の法人の欠損金の繰戻しによる還付の不適用】(措法66の13)

1,平成21年度税制改正前の制度の概要  法人の平成4年4月1日から平成22年3月31日までの間に終了する各事業年度において生じた欠損金額については,原則として,法人税法第80条第1項≪欠損金の繰戻しによる還付≫の規定を適用することができないこととされていました。

2,平成21年度税制改正の概要
 平成21年2月1日以後に終了する各事業年度において生じた欠損金額については,欠損金の繰戻しによる還付の不適用措置の対象から次に掲げる法人を除外し,これらの法人の各事業年度において生じた欠損金額について,欠損金の繰戻しによる還付の規定を適用できることとなりました。
(注)解散等の一定の事実が生じた日前1年以内に終了した事業年度又は同日の属する事業年度の欠損金額については,本制度の対象となる欠損金額から除かれます。
 1 普通法人のうち,当該事業年度終了の時において資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下であるもの又は資本若しくは出資を有しないもの(保険業法に規定する相互会社及び所定のものを除きます)  2 公益法人等又は協同組合等
 3 法人税法以外の法律によって公益法人等とみなされているもので所定のもの
 4 人格のない社団等

3,平成22年度税制改正の概要
 平成22年4月1日以後に開始する事業年度から,資本金の額又は出資金の額が5億円以上である法人若しくは相互会社等との間にこれらの法人による完全支配関係がある普通法人については,事業年度終了の時において資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下であっても,欠損金の繰戻しによる還付の規定は適用しないこととなりました。
(新措法66の13,改正法附則73)

【欠損金の繰戻しによる還付】(法法80 1)の概要
 青色申告書である確定申告書を提出する法人は,その確定申告書を提出する事業年度において生じた欠損金額がある場合には,その事業年度(以下「欠損事業年度」といいます。)
開始の日前1年以内に開始したいずれかの事業年度(以下「還付所得事業年度」といいます。)に繰り戻して法人税の還付を請求することができる制度です。
 この制度の適用を受けるためには,次の1から3のいずれにも該当する必要があります。

 1 還付所得事業年度から欠損事業年度の前事業年度まで連続して青色申告書である確定申告書を提出していること
 2 欠損事業年度の確定申告書を青色申告書により提出期限内に提出していること
 3 確定申告書の提出と同時に欠損金の繰戻しによる還付請求書を提出していること

この欠損金の繰戻還付は,繰越控除だけを適用する場合に比べて,1期分多く控除することができますので,繰越欠損金が控除しきれずに期限切れとなるリスクを低くすることができます。
また,現金で還付されますので,資金繰りに活用できるでしょう。

税理士 鵜池 隆充

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《執筆メンバー》  弁護士2、税理士2、社会保険労務士3、行政書士3、司法書士1、弁理士1、不動産鑑定士1、ファイナンシャルプランナー2、保険代理業1(計16名) ■発 行  福岡☆リスク法務実務研究会
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