(1)登記制度の変遷
内国会社の代表取締役のうち,最低1人は日本に住所を有していなければならないという従前の取扱いは廃止され,代表取締役の全員が日本に住所を有しない内国株式会社の設立の登記及びその代表取締役の重任若しくは就任の登記について,申請を受理する取扱いとなりました(平成27年3月16日民商第29号通知)。
そのため,代表取締役の全員が海外に居住していても,日本において会社の設立登記を申請することができます(日本人であることも必要ありません。)。
(2)外国人の創業者の増加
福岡市は、国内初で、「スタートアップビザ(外国人創業活動促進事業)」が運用されました。スタートアップビザは、外国人の創業を促進するために、国家戦略特区に指定されている福岡市で特例的に認められた制度です。このような政策が増えたことから外国人による法人設立が増加しています。
また、外国人が医療ツーリズム、民泊、貿易、不動産投資など経営しやすい土壌があることも理由に挙げられます。
(3)問題点
(1)の通り、法人の設立については、外国在住者でも可能ですか、言葉の問題や、口座の開設ができない(金融機関では写真付き身分証明書の提示が求められる)ことや、日本での事務所の契約の敷居が高い等の問題があり、法人設立ができることと、事業の開始ができることとは別の問題が発生しました。
(4)今後の対応
法人設立前後に日本でフォローできる人材が必要。事務所の契約はもちろん、口座開設、求人なども行う必要があり、日本の企業や官公庁は日本在住の担当者を求めてくるので、業務委託や雇用を行ってそのような業務を担ってくれる仕組みづくりが必要です。また、外国でよく行われるシェルターカンパニーのようなやり方を行う方法も考えられます。
回答者 司法書士 池田 龍太
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