司法書士の池田です。
さて、今回は成年後見の申立てについてお話しさせていただきたいと思います。
ご存じのとおり、成年後見制度とは、判断能力が不十分な人(本人)を法律的に保護し、支えるための制度です。
「親が亡くなったので遺産分割協議をしたいが、相続人の中に認知症の方がいる」
「特別養護老人ホームに入所させたいが、施設の方から成年後見人をつけるよう言われた」
このような理由から、成年後見制度の利用を考える方も多いかと思います。
成年後見制度を利用するためには、申立書類や参考となる添付資料を用意して、家庭裁判所に提出し、成年後見開始の審判を受けます。
申立書には、本人との関係や申立てに至った経緯、本人の生活状況や財産状況、候補者自身の経歴や現在の生活状況・経済状況など、広範囲のことを記載しなければなりません。
これは、成年後見人に選任された場合、候補者は原則として本人が亡くなるか、または行為能力が回復するまでの長期間にわたって本人の援助者としての役割を果たさなければならないので、適格性については裁判所で厳格に判断されるためです。
ところで、成年後見開始の申立てをするにあたって、気をつけなければならない点が2点あります。
一点目は、候補者としては、親族の方を記載する場合もありますし、司法書士や弁護士、社会福祉士などの第三者後見人を記載する場合もありますが、候補者が必ず成年後見人として選ばれるわけではないという点に注意が必要な点です。
何方が成年後見人として選任されるかは、家庭裁判所の判断にゆだねられております。希望が必ずしも通るわけではない点を御理解いただければと思います。
二点目は、成年後見開始の申立てをした場合、取り下げは原則としてすることができません。これは、成年後見制度が本人保護に重点を置いた制度であり、本人にとって成年後見制度が必要なのであれば、その他の理由によって取り下げることはできないとの理由からです。
成年後見人は、本人のみならず、ご家族の方々にも少なからず影響を与える存在です。本当に成年後見人を付与すべき事案なのか否か、親族の方と御協議なさることをお勧めします。
回答者 司法書士 池田 龍太
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