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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和2年2月号》
法人化をするべき3つのポイント

1.はじめに

 こんにちは、司法書士の池田です。本日は法人化をするべき3つのポイントについてお話しさせていただきます。法人化は個人として事業を営む過程で、利益がでたから絶税のために、行うというものだけでなく、事業を開始するタイミングで最初から行うときもあります。今日は私が、多くの相談の中で法人設立をしたほうがいいのではないかというタイミングについてお話をさせていただきたいと思います。

2.法人化をするべきタイミング
 @信用力を得たい場合
 信用力を得るために法人化は有効な方法です。法人化をすれば法人の登記事項証明書に会社の名前や本店の所在地、代表者の氏名や住所などが記載され、その事項証明書は第三者が誰でも取得することができます。また、希望の事業を行う場合、必ず法人化が必要にある場合があります。例えば、取引先の規定で法人でなければ取引ができない場合もあれば、介護事業など、許認可を取得する場合に法人化をしなければならない場合が考えられます。
 それでは、銀行から融資を受ける場合は法人化したほうがメリットがあるのでしょうか。これは金融機関の方にも意見が聞きたいところですが、私個人の意見としては個人であろうが、法人であろうが大きな違いはないと考えています。金融機関が融資を行う際に重視していることは返済が可能かどうかという点ですので、個人か法人かで結論が異なるものになる理由は少ないからです。
 A節税のため
 節税のために法人化をする方は、おそらく個人ですでに経営をされている方だと考えられますが、一般的には個人事業主としてのおおよそ、利益が500万円を超えるあたりから法人化への試算を行うことがおすすめされています。個人と法人では、根本的な仕組みが違います。例えば、個人事業主の場合は、個人の取得は経費にできませんが、法人化し、役員報酬を出せば、その全額を損金として算入できます。一方で従業員(役員報酬を出している役員を含む)がいる場合は社会保険は必ず加入しなければならず、また、法人化のために設立時の登記費用がかかることや、月々の税理士費用も一般的には上がります。一つ言えることは、節税のために法人化するのであれば、自分で法人化した場合の試算をするか、できないのであれば、信頼できる税理士の先生に法人化をした場合の試算をしてもらうことが重要です。
 B共同経営をする場合
 誰か信頼のおける友人などと、共同経営をする場合は、法人化が有効です。個人事業主でお金を出し合って事業をする場合、法律上の権利関係が錯綜する可能性が高くなります。例えば共同経営者のAさんとBさんが二人で飲食店を開業する場合を想定してください。代表してAさんが500万円の借り入れをし、Bさんは500万円の個人資産をAさんにわたし、合計1000万円で事業を開始することになりました。例えば、この資金で購入した内装設備500万円の所有権は誰のものになるでしょうか。また、AさんとBさんが喧嘩別れをしてしまった場合はAさんはBさんにお金を返さないといけないのでしょうか。現実的には非常に難しい問題が生じてしまいます。この点、法人にすれば、内装設備は法人の所有となりますし、開業資金をBさんが出資金として支払った場合は、AさんはBさんに出資金を返還する義務はありません。

3.まとめ
 いかがでしたでしょうか。今日お伝えしたポイントを参考に法人化を検討いただければ幸いです。

回答者 司法書士 池田 龍太
ロウル司法書士事務所
代表司法書士  池田 龍太
〒810-0054 福岡市中央区今川1丁目10番45号 エムズビル2F
TEL 092-725-4850 FAX 092-510-7245
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