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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《平成29年1月号》
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 弁理士の高松宏行と申します。平成29年1月から知的財産権をテーマにして執筆させて頂くことになりました。
 執筆にあたり、法律に即した難しい言い回しは差し控え、皆様にご興味を持っていただけるような面白い内容にしたいと思います。今後とも何卒宜しくお願い致します。

 知的財産権とは、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権等の総称を指します。各権利について簡潔に説明しますと、特許権は発明の保護、実用新案権は物品の形状等の考案の保護、意匠権は物品のデザインの保護、商標権は商品・サービスの名称やロゴに化体した業務上の信用の保護を目的としております。
 今回は特許の歴史について簡単にご紹介いたします。

 特許制度の起源は1474年のイタリアであるといわれております。その後、1623年にイギリスで近代特許制度の基礎が確立され、全世界に広がっていきました。日本では、1885年(明治18年)に専売特許条例が施行され、ここから特許制度がはじまりました。
 世界的にみるとトーマス・エジソン、レオナルド・ダ・ヴィンチ、グラハム・ベルが発明家として有名ですが、日本にも豊田佐吉(木製人力織機)、八木秀次(八木アンテナ)、御木本幸吉(養殖真珠)のように、世界の産業発達に多大なる貢献を果たした偉大な発明家がいます。ちなみに、豊田佐吉さんはトヨタグループの創始者です。ドクター中松さんもたくさんの特許を取得している偉大な発明家です。
 特許の対象は実に様々で、ほとんどの物・方法がその対象になります。時代を遡ると、例えば昭和初期の頃では戦闘機や大砲といった兵器に関する多くの技術が特許出願されました。  ところで、どうして特許という考えが生まれたのでしょうか。そのヒントになる事例をご紹介します。  その昔、Aさんは長年に亘る研究開発の結果、画期的な物(発明品)を発明しました。  ある時、BさんはAさんの発明品を知り、「これは素晴らしい!大儲けできるぞ!」と考え、Aさんに無断で安価な模倣品の販売を開始しました。これにより、Bさんは大儲けしましたが、Aさんは価格競争に負けてしまい、つぎ込んだ研究開発費に見合ったお金を回収することができませんでした・・・いかがでしょう?これではAさんにとってあまりにも酷であり、Aさんの発明意欲を失わせてしまいます。
 そこで、画期的な発明をした者に対してはその発明を公開させる代償として、一定期間、その発明を独占排他的に実施することが可能な特許権を付与する制度が設けられました。これにより、Aさんは特許になった発明品を独占して販売することで莫大な収入を得ることができます。また、AさんはBさんのような第三者による模倣品の販売行為を差し止めし、さらには損害賠償請求を行うこともできます。

 このように、特許制度によって技術は日々進歩を遂げ、その積み重ねにより、今日におけるインターネット等の通信技術、3Dプリンタ、電気自動車などといった新しい技術が誕生しております。つまり、特許は私たちの暮らしをより豊かなものにする制度なのです。
 今回のテーマは以上になります。
 次回は、具体的な特許例をご紹介したいと思います。
                                                       以上

回答者 弁理士 高松 宏行
高松特許事務所
弁理士 高松 宏行
〒810-0041 福岡県福岡市中央区大名2-4-30 西鉄赤坂ビル7F
電話092-711-1707 FAX 092-711-0946
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