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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和5年1月号》
おもしろ知財ツアー73

弁理士の高松宏行です。今回は弁理士になるための試験制度についてお話します。
弁理士は、特許権、意匠権、商標権などを取得するために必要な手続を、クライアント(出願人)に代わって特許庁に行うことを認められた唯一の国家資格です。
ここ数年の受験者数は2,900〜3,600名の間で推移しており、2022年の最終合格率は6.1%でした。ちなみに私が合格した十数年前の受験者数は1万人位だったと記憶しています。受験者数が圧倒的に減っているのを実感します。
試験内容は短答式、論文式、口述に分けられます。各試験の時期は次のとおりです。

短答式筆記試験      :5月頃(GW前)
論文式筆記試験(必須科目):7月初旬頃
論文式筆記試験(選択科目):7月下旬頃
口述試験         :10月中旬〜下旬頃

短答式に合格しなければ論文式を受験することができず、論文式に合格しなければ口述試験を受けることができません。

短答式はマークシート形式で行われます。
法域は特許法、実用新案法、意匠法、商標法、著作権法、不正競争防止法、条約があります。満点に対して65%の得点率が基準になっているようです。
法域が多岐に亘ることに加えて、複数回答の問題もあって、一次試験とはいえハードルはかなり高いです。

論文式は弁理士試験の中で最もハードルが高いと言われています。
必須科目は特許、意匠、商標の夫々から出題され、事例問題がメインになります。
問題の読解、回答の構成を検討するだけで相当な時間を費やされ、最大限の集中力を要します。
選択科目は機械・応用力学をはじめとする理工系の分野、民法から選択できます。
選択科目は受験者によって免除されるケースがあります。

口述試験は受験者1人と試験官複数名との間で行われます。東京都内の某高級ホテルが会場となります。10年以上前は、少なくとも特許法、実用新案法、意匠法、商標法の全ての条文を丸暗記するレベルまで達しないと合格が難しかったです。

私は4年かけて何とか合格できましたが、受験生時代はプライベートを犠牲にしてとにかく勉強しました。正直、本当に大変で精神が極限状態であった思い出しかありません。
全く遊ばなかったわけではありませんが、全く勉強しない日は1年あたり数日しかなかったと思います。
あの頃は松井秀喜選手がニューヨークヤンキースで活躍していた時期で、朝食時に観るメジャーリーグ中継がひと時の安らぎを与えてくれました。

 今月は以上です。

回答者 弁理士 高松 宏行
高松特許事務所
弁理士 高松 宏行
〒810-0041 福岡県福岡市中央区大名2-4-30 西鉄赤坂ビル7F
電話092-711-1707 FAX 092-711-0946
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