おもしろ知財ツアー

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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和5年8月号》
おもしろ知財ツアー80

弁理士の高松宏行です。今回はiPhoneでお馴染みのアップル社の意匠を主とした知財戦略について説明したいと思います。
ざっくり述べますと、意匠とは物品のデザインを指します。
アップル社は創業当時から知的財産権をとても重要視しており、大企業の中でも知的財産権の保有数が世界トップクラスです。
それは日本においても例外ではなく、意匠権だけでも1,600件以上を保有しています。近年の出願件数は年間で200件以上です。
アップル社の凄いところは、自社の規格品を意匠登録していることです。
例えば、アップル社は充電やPCとの通信で用いるlightningコネクタのデザインを意匠登録しています。

意匠登録1480640号

まな板A
すなわち、アップル社以外の事業者がこのコネクタを製造・販売したい場合、アップル社のライセンスを得なければいけません。パソコンショップに行くと、廉価で怪しそうなlightningコネクタが販売されていることもありますが、無許可での製造・販売は法律上アウトです。
日本の意匠法では画面デザインも保護対象であるため(アメリカ等の先進国も同じです)、皆さんにとって見慣れたあのデザインにも意匠権があったりします。

意匠登録1615767号

まな板B
iPhoneユーザならほぼ全員知っている計算機アプリのメイン画像ですが、これもアップル社は意匠登録しています。このデザインも真似するとアウトです。

意匠登録1496214号

まな板B
アップル社の看板商品「iPad」も当然に意匠権を取得しています。
矩形デザインの端末は他メーカーでも沢山出ていますが、それでも登録要件さえ満たせば意匠権を取得できます。

ただ、知的財産権をこれだけ重要視しているアップル社でも、日本で権利を取得できていないものがあります。それは、スマートフォンを指定商品とする「iPhone」の商標です。
何故か?それは、アイホン株式会社が「アイホン」を既に商標登録していたためです。
アップル社はスマートフォンを販売するため、アイホン社にライセンス料を支払っていると言われています。

 今月は以上です。

回答者 弁理士 高松 宏行
高松特許事務所
弁理士 高松 宏行
〒810-0041 福岡県福岡市中央区大名2-4-30 西鉄赤坂ビル7F
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