おもしろ知財ツアー

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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和5年12月号》
おもしろ知財ツアー84

弁理士の高松宏行です。つい最近ですが、TOBE所属のグループ「Number_i」のロゴが、ロックバンド「The BONEZ」のロゴに酷似しており、後出しである「Number_i」のロゴの使用は問題にならないのか?というニュースが世間を賑わせました。最新の情報では、双方の話し合いの結果、「Number_i」のロゴは変更しないことになったそうです。今回はこの件について、著作権法上の問題はなかったのか、検証したいと思います。

まず、問題となったロゴは下記のとおりです。

X
Number_iロゴ(出典:公式HP)   

X japan
The BONEZロゴ(出典:公式HP)

著作権の侵害が成立するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。その要件のひとつに、「依拠性」というものがあります。即ち、Number_iロゴが、The BONEZロゴ(著作物があると仮定します)を真似して創作されたものであることが必要になります。Number_iロゴの創作者が、The BONEZロゴを全く知らずに、偶然創作したものであれば、「依拠性」は否定され、著作権侵害は成立しません。 著作権の侵害が成立するためにはその他、「その内容及び形式を覚知させるに足りるものを再製すること」が必要になります。つまり、表現が類似していることです。

以下は個人的な感想・主観です。 Number_iロゴは、「N」と「I」と「O」の欧文字を重ねて表現されたものであることが看守されます。「N」と「I」の上下で余白が大きいことから、より一層そのように見受けられます。 その一方で、The BONEZロゴは「U」と「N」を重ねて表現されているような印象を受けます。上下に余白がほとんどないこと等が理由です。 また、複数の欧文字を重ねて表現することは一般的によくあります。さらに、Number_iロゴはThe BONEZロゴにはない「O」を含み、この「O」はロゴの中心(目立つ位置)にあり、ロゴ全体に対する割合も比較的大きいです。 これらの違いを総合的に考慮すると、両ロゴは類似していないように見受けられます。 結論として、著作権法上の問題は生じない可能性が高いと思います(あくまで個人的な感想です)。

 今月は以上です。

回答者 弁理士 高松 宏行
高松特許事務所
弁理士 高松 宏行
〒810-0041 福岡県福岡市中央区大名2-4-30 西鉄赤坂ビル7F
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