おもしろ知財ツアー

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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和6年8月号》
おもしろ知財ツアー92

弁理士の高松宏行です。アイリスオーヤマの販売するアイマスクが、花王が保有する意匠権を侵害するとして、販売差し止めを求める仮処分が提起されたとのニュースが大々的に報じられました。今回はこの件について解説したいと思います。
意匠権は物品のデザインを保護するもので、同一又は類似範囲まで権利が及びます。
花王が問題視した自社の登録意匠は次のとおりです(登録第1330629号)。
<正面図>
             

正面図
<背面図>
背面図
<使用状態参考図>
使用状態参考図

一方、アイリスオーヤマが販売するアイマスクは次のとりです。
(出典:アイリスオーヤマのHP)

アイマスク

両物品は一見類似しているように見えます。ただし、意匠の類似判断は、一般的なアイマスクのデザインがどのようなものか(そこから見出せるユニークなポイントはどこか)、出願から登録に至るまでの審査状況など、様々な要素を総合的に勘案しますので、直ちに意匠権侵害に該当するとは言い切れません。
例えば、目を覆う部分、耳掛け部分の形状は、商品の機能を発揮するうえである程度決まります。鼻が接触する部分に切り込みが見受けられますが、機能上、必要な措置と思われます。
裁判では、公知なデザインはどこか、公知ではないユニークなデザインはどこか、を特定し、アイリスオーヤマの製品がユニークなデザインを含んでいるかを審理することになるのではと思います。

 今月は以上です。

回答者 弁理士 高松 宏行
高松特許事務所
弁理士 高松 宏行
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