弁理士の高松宏行です。アマゾンや楽天などのオンラインショップに商品を出品する方が増加しております。これに伴い、よくある相談内容についてご紹介します。
出品者の多くは、中国をはじめとする海外の工場で開発・製造された商品を輸入し、これを日本国内で販売しております。海外から輸入した商品について、出品者が知的財産権(特許、実用新案、意匠)を取得したいとの相談を多く受けます。
大前提として、特許等を受ける権利は、原始的に発明者(創作者)に帰属します。つまり、海外から輸入する商品の発明者等が海外の方である場合、勝手に出品者が出願することは認められていません。厳密にいうと出願できなくはないですが、仮に権利を取得しても冒認出願に基づく無効理由を有します。海外でよく売れている商品を見つけ、それを日本で独占販売したいので特許等を取得したいと思われる方は、少なくとも特許等を受ける権利を有する者(海外の方)から当該権利を譲渡してもらう必要があります。
また、その商品が出願前に公開されている場合、新規性喪失の例外という手続をとる必要があります。特許等は新規性を具備する必要があるためです。
まとめますと、海外から輸入する商品について知的財産権を取得したい場合、
@特許等を受ける権利を譲りけること
A商品が既に公開されている場合、新規性喪失の例外を含めて出願すること
が必要になります。
新規性喪失の例外の手続は、最初の公開日から1年以内に出願していないと意味がありません。
また、意匠は最初の公開行為のみを申告すればよいですが、特許は全ての公開行為を申告しなければならないので非常に大変です。
その一方で、海外から輸入する商品の商品名を日本の代理店が商標登録することは一定条件下で可能です。かかる場合、輸入元の海外企業から、代理店が商標登録することを許可する証明書およびその翻訳文を提出することになります。
今月は以上です。
回答者 弁理士 高松 宏行
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