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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和6年11月号》
おもしろ知財ツアー95

弁理士の高松宏行です。今回は海外での特許権の取得の方法について説明します。
例えば日本で特許出願し、無事に特許権が取得できても、特許権の効力は日本国内のみに及びます。したがって、海外で特許権を取得するためには、@海外へ直接特許出願する方法、APCT出願をする方法、の2種類があります。
海外へ直接特許出願する方法は、自己が特許権を取得したい国に直接手続を行う方法になるので、最も分かり易いルートです。
PCT出願とは出願の束とも言われ、締約国150ヶ国以上に「仮出願」した効果が得られます。海外で特許権を取得したいけど、どの国にするか決定していないような場合に有効です。また、PCT出願を行うと、出願した発明の特許性を調査してくれます(日本は出願審査請求手続を行う必要あり)。
例えばアメリカと中国で特許権を取得したいと考えた場合、PCT出願日から30カ月以内にアメリカと中国の特許庁に手続(国内移行といいます)を行う必要があります。30ヶ月の期間があるので、出願人は時間をかけてゆっくりと国を検討することができます。
なお、国内移行後の手続は現地代理人に依頼する必要がありますが、日本の特許事務所が仲介役になって出願人と現地代理人を繋ぐケースが多いです。国内移行時には翻訳文などを提出する必要があるため、実際にはPCT出願日から24ヶ月位を経過した時点で国を決める必要があります。
海外での特許権の取得は翻訳文や日本の特許事務所の仲介料などが加算されるため、高額になりがちです。例えばアメリカの場合、1件あたり150〜200万円程度が費用の目安になります。
EUの場合は制度が特殊で、単一効特許という制度を利用してEUに加盟する複数ヶ国で同時に権利取得できます(英国など一部の国は除外されます)。
EUの制度は別途ご案内できればと思います。

 今月は以上です。

回答者 弁理士 高松 宏行
高松特許事務所
弁理士 高松 宏行
〒810-0041 福岡県福岡市中央区大名2-4-30 西鉄赤坂ビル7F
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