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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《令和6年12月号》
おもしろ知財ツアー96

 弁理士の高松宏行です。今回は、任天堂株式会社と株式会社ポケモンが、ゲーム『パルワールド』を開発・販売する株式会社ポケットペアに対し、特許権侵害を理由に訴訟を提起していることについて、具体的にどのような内容の特許を主張しているのか、お話したいと思います。
 任天堂等は今回、特許第7545191号、特許第7493117号、特許第7528390号に係る特許に基づいて訴えを提起しています。

(1)特許第7545191号
 きわめて簡単に説明すると、この特許は、ゲーム内で「捕獲アイテム」や「戦闘キャラクター」を投げる動作に関する技術です。もう少し具体的に説明すると、プレイヤーがキャラクターを操作して、ターゲット(例えばモンスターなど)を捕獲するためのアイテム(例:ボール状のもの)を構え、狙いを定めて投げる流れを実現するような技術、捕獲したキャラクターや味方キャラクターを選び、特定の場所やターゲットに向けて送り出す(放つ)動作を実現する技術です。

(2)特許第7493117号
 きわめて簡単に説明すると、この特許は、ゲーム内で「プレイヤーがアイテムやキャラクターを特定の方向に向けて操作し、放つ方法」に関する技術です。もう少し具体的に説明すると、プレイヤーが狙いたい対象や方向を定めるための仕組みであり(例えば、画面に表示されるターゲットマークや照準線のようなもの)、方向を決めた後の動作アイテム(例:捕獲ボールなど)やキャラクターを指定した方向に正確に送り出す操作、照準を合わせてから放つまでの一連の動作が、直感的で簡単に行えるような技術です。

(3)特許第7528390号
 きわめて簡単に説明すると、この特許は、プレイヤーが仮想空間でキャラクターに「乗る」動作とその操作方法についての技術です。もう少し具体的に説明すると、キャラクターに乗る動作プレイヤーキャラクターが特定の操作を行うことで、別のキャラクター(例:馬やドラゴンなど)に乗る仕組みで、例えば、近づくだけで自動的に乗るのか、特定のボタンを押す必要があるのか、といった操作方法に関する技術です。
 この「(3)」に係る特許請求の範囲(特許を文章で表したもの)は次のとおりです。 【請求項1】
 情報処理装置のコンピュータに、
 仮想空間内において、操作入力に基づいてプレイヤキャラクタを制御させ、
 前記プレイヤキャラクタが所有する所有キャラクタのうち、前記プレイヤキャラクタが搭乗可能な複数種類の搭乗キャラクタのいずれかが選択されて搭乗指示が行われた場合、前記プレイヤキャラクタを当該選択された前記搭乗キャラクタに搭乗させて、移動可能な状態にさせ、
 前記プレイヤキャラクタが空中にいるときに第1の操作入力が行われた場合、前記プレイヤキャラクタを前記搭乗キャラクタのうち、空中を移動可能な空中用搭乗キャラクタに搭乗させて、空中において移動可能な状態にさせ、
 前記プレイヤキャラクタが前記空中用搭乗キャラクタに搭乗中に、操作入力に基づいて前記空中用搭乗キャラクタに搭乗した前記プレイヤキャラクタを空中において移動させる、ゲームプログラム。

 特許的に表すと、このように複雑で難しい文章になります。
 特許文献は明細書と図面がセットになっており、これらを確認することで詳しい特許の内容が分かります。とはいっても、明細書の文章も難しいので、なかなか理解しづらいと思います。とはいえ、図面にはニンテンドースイッチの外観やゲーム画面が多く含まれるので、ゲーム好きな方にとっては分かり易いかもしれません。
 「(3)」の特許が最も読みやすいので、特許文献のURLを以下にお知らせします。
 ご興味がある方はぜひトライしてみてください。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7528390/15/ja

 今月は以上です。

回答者 弁理士 高松 宏行
高松特許事務所
弁理士 高松 宏行
〒810-0041 福岡県福岡市中央区大名2-4-30 西鉄赤坂ビル7F
電話092-711-1707 FAX 092-711-0946
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