|
弁理士の高松です。今回は商標登録出願から権利取得に至るまでの流れを説明します。
最後のページのフローチャートを併せてご参照ください。
まず、弁理士は相談者(商標権取得希望者)との打ち合わせを行った後、先願調査(既に同一または類似の登録商標があるか等)を行います。事務所によりますが、1週間以内に調査結果を報告することが多いです。
調査の結果、登録の可能性が高いと判断した場合、特許庁に提出する商標登録願という書類を作成します。商標登録願には、登録したい商標、その商標を使用する商品・役務、出願人の名称、住所、代理人情報等を記載します。
商標登録出願の手続が完了したら、約7ヶ月後に審査結果が通知されます。特許とは異なり、審査請求という手続をせずに審査を受けます。なお、一定条件下で認められる早期審査制度を利用すれば、審査期間が4ヶ月ほど短縮されます。
商標の場合は、先願調査を経て出願することが多いため、拒絶理由が通知される割合は特許と比べて圧倒的に低いです。
拒絶理由が通知されると、40日以内に意見書による反論や、手続補正書による指定商品・役務の補正の機会が与えられます。
意見書や手続補正書を提出すると(「オフィスアクション」といいます)、特許庁の審査官が再度審査を行います。
拒絶理由が発見されなかった場合、もしくは意見書等を提出することで拒絶理由が解消した場合、「登録査定」が通知されます。
登録査定が通知された場合、30日以内に10年分の登録料を納付することで、遅滞なく商標権が付与されます。ちなみに、登録料は5年に分けて分割納付することもできますが、一括納付に比べて割高になります。
この一連の流れにおける費用(1区分)の総額としては、拒絶理由を受けなかった場合、法定印紙代と弁理士費用を合わせて17万円前後が目安になります。
1年あたり17,000円の維持費という計算になります。
拒絶理由対応の費用は内容にもよりますが、1回につき5〜12万円が多いです。
スムーズに手続が進めば、9カ月程度で権利取得が可能です。
今月は以上です。
回答者 弁理士 高松 宏行
|