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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《平成27年7月号》
成年後見制度について 5

【初めに】
 皆様、こんにちは。行政書士の和田でございます。今回は「成年後見制度」を利用していてご本人が亡くなったら…というところをお話させていただきます。

【1.成年後見制度におけるご本人死亡後の後見人の原則的な関わりについて】
 成年後見制度では、後見人はご本人の身上監護や財産管理を行いますが、ご本人が亡くなった後、後見人は何をしなければならないのか、また何をどこまでして、何が出来ないのか、ということがよく問題となります。
 原則としては、ご本人が亡くなれば、後見人としての仕事は終了します。なぜかというとご本人が亡くなると、相続人が財産管理をすることになるので、後見人は相続人に財産を引き継ぎすることで仕事を終えます。(後見人は、財産管理権や代理権などの全ての権限を失いますが、後見人=相続人の場合は問題ではありません)
 しかし、ご本人が亡くなった時から、後見人としての立場はもうないから、知らないよ、ということが言えない状況がよく出てきます。

【2.ご本人死亡後の様々な手続き】
  そもそものお話ですが、成年後見制度を利用していなくても、人が亡くなるということは残された人(相続人等)のその後の手続き等は意外と大変なものです。これは、皆様でもご苦労されたことがあるのではないでしょうか?
 ですので、成年後見制度を利用している場合は尚更、慎重に手続きをすすめなくてはなりません。ただ、ご本人さんに親族(相続人)が同居である、もしくは近くにいてコミュニケーションをとっている、などの状況であれば、ご本人の財産を相続し、親族(相続人)の立場から、施設への利用料や入院費用等の支払いを行ったり、死亡届、葬儀、遺骨の問題等も大丈夫かと思います。
 しかし、ご本人さんに親族がいない場合もしくはかなり疎遠な場合などは事情が違ってきます。よく遠方の方などは、そちらでやっておいて下さい、費用はご本人さんの財産から差し引いていいから、など言われることがありますが、そもそもご本人さんが亡くなると成年後見制度を利用しているというだけで、死後の様々な手続きは出来ません。(原則、「死後事務委任の契約」が必要です。任意後見制度を利用している場合、この契約を一緒につけている場合も多いです)
 最初にもお伝えしましたが、原則、後見人の仕事は残務処理としての財産の引き継ぎまで(緊急的な事情があればそこまで)しか出来ませんので、その点で最低限何をしなければならないのか、もしくは何まで出来るのか、ということを後見人自身も、予め理解しておかなければいけませんし、近くにいようと遠方であろうと親族の方に事前にしっかり説明しておかなければなりません。(検討しておくべきこと:死亡届は誰が出すのか、葬儀は誰が執り行うのか、遺骨の引渡しはどうしたらいいのか、ご本人さんが行っていたもしくは入院していた病院の費用、施設の利用料、家賃の支払い及び解約、公共料金等の支払い及び終了手続き、その他残っている債務の支払い等)  その上で少しでも死後の手続きをスムーズにするには、やはり「死後事務委任の契約」をしておいた方がいいかと思われます。(親族ではなく「第三者が後見人」の場合)

 成年後見制度を利用している普段の後見人の仕事は、皆さん慣れてくると比較的、慌てることなく出来るのですが、ご本人さんが亡くなった後の少し細かい手続きなどは、スピーディーさを求められることもありちょっと混乱したり、あまり考えてなかった、ということがありますので、その点についてお話させていただきました。

回答者 行政書士 和田 好史
和田法務事務所
行政書士 和田 好史
福岡市中央区渡辺通り5-15-6縄田ビル1F
TEL092-752-6116 FAX092-752-6116 
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