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福岡!企業!元気!のための法律ワンポイント 《平成27年10月号》
公証役場で出来ること 2

【初めに】
 皆様、こんにちは。行政書士の和田でございます。前回から、「公証役場」についてお話しております。今回は、公証役場を利用することによってのメリットについて、お話させていただきます。

【1.公証役場で作成する公正証書のメリット】
 前回、公証役場で出来ることの一つに「公正証書の作成」ということを挙げました。実はこれが公証役場で作る書類の大きなウエイトを占めますし、皆様にとってもこれが大きなメリットになるかと思います。そのメリットとしては、以下の点が挙げられます。
 ・公証人という法的専門家と一緒に書面を作成するので、間違えが起こりにくい。
 →例)遺言書の書き間違い(日付け忘れや「遺贈する」を「相続する」などの言葉の間違い等)
 ・公証役場が書面を保管するので、偽造や紛失等のリスクがほぼない。
 →例)自分で書いた遺言書の紛失や遺言書を見つけて、その内容が不利な相続人による偽造や破棄
 ・公証役場という公的な機関で作成した書面には「証拠力」が高い。
 →例)私文書でのお金の貸し借りの書面よりは、金銭消費貸借契約書の公正証書の方が、債務者の言い訳が出来ない(偽造されたとかサインした覚えがない等…)、不動産の賃貸借契約で家賃の増減の問題や賃貸期間等の問題もクリアになる(説明を受けていないとか聞いていないとかが、まずない)
 ・公正証書には執行力がある。
 →例)通常は、金銭の貸し借りや離婚の際の養育費などを突然支払わなくなった場合などに、訴訟を起こして勝訴判決を得た後に差押えをする、という過程なのですが、公正証書の場合(執行分の付与をつけておく)だと手続きだけで直ちに差押えが出来ます。(給与等の差押え出来る限度割合はあり)

【2.公証役場で作成する公正証書のデメリット(手間や費用面等)】
 公正証書を作成する上でのデメリットというと、時間が多少かかることと手間(必要書類の準備等)や費用がかかることです。
 具体的な例だと、公正証書での遺言書を作成する場合に準備しておくべき書類は、遺言者本人の印鑑登録証明書、遺言者と相続人との続柄が分かる戸籍謄本、財産を相続人以外の人に遺贈する場合には、その人の住民票、財産の中に不動産がある場合には、その登記事項証明書(登記簿謄本)と固定資産評価証明書又は固定資産税の課税明細書と証人2人が必要です。(証人予定者の氏名、住所、成年月日、職業を事前に知っておく必要あり)
 費用面でいうと、前回お伝えした公証人への手数料の他、遺言書等で原本についてその枚数が法務省令で定める枚数の計算方法により4枚を超える時は、その超える1枚ごとに250円の手数料が加算され、また正本と謄本の交付にも1枚につき250円の割合の手数料が必要となります。
 遺言者が高齢や病気等のため体力的に公証役場まで行けない場合などは、公証人が出張して自宅や病院、施設まで来てくれますが、公証人への手数料が50%加算され、日当や交通費の負担などが増えてきます。

【3.まとめ】
 前回と今回で公証役場の利用の仕方や公正証書のメリットとデメリットをお伝えしましたが、やはり大事な契約書や離婚協議書、定期借家契約、個人間の貸金契約書等(特に継続的な支払いがある契約)などは、後々のリスクを考えても、公正証書にしておく方が無難かと思われます。遺言に関しても、手間や費用等はかかりますが、公正証書遺言にしておく方が、紛失や偽造のリスクからも回避できますので、ご検討の際は、行政書士などの法的な専門家にご相談下さい。

回答者 行政書士 和田 好史
和田法務事務所
行政書士 和田 好史
福岡市中央区渡辺通り5-15-6縄田ビル1F
TEL092-752-6116 FAX092-752-6116 
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