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福岡!企業!元気!のためのワンポイントQ&A 《平成25年1月号》
祝日と「休日」の関係
  質 問

【質問者】
 コンサルタント業(正社員6 名、パート2 名)

【質問内容】
 当社は、マーケティング関係のコンサルタント業です。完全週休二日制で、毎週土曜日曜は休日です。しかし、祝祭日は、営業日としています。コンサルタント業は、依頼者と会って打ち合わせすることが多いのですが、祝祭日は基本的に内勤業務で資料作成等をすすめます。
 先日、従業員の一人が、「祝日は、法律で『休日とする』となっている。休みにしなければ違法ではないのか。』と言ってきました。私は、「それなら、祝祭日に営業している飲食店や商店の従業員はどうなるか。違法なわけないだろう。」と答えました。
すると、従業員は、「飲食店や商店の従業員は、平日に休みがあるから認められているはずだ。当社のように平日に休みがない場合は、祝日は休みにしなければならないはずだ。」と言うのです。言われてみれば、確かに平日に休みがない会社は、祝祭日は休みになっているような気がします。当社の場合、祝祭日は休日にしなければならないのでしょうか。

  回 答

 【祝日、祝祭日】
 貴社従業員は「祝日」、貴社は「祝祭日」と表現していますので、まずここから確認します。もともと、祝日と祭日とは別々です。祭日は、基本的には天皇によるお祭りの日です。しかし、戦後GHQ により祭日を休日とすることが禁じられたため、祝日だけが休日となりました。それでも、春季皇霊祭(春分の日)、秋季皇霊祭(秋分の日)、新嘗祭(11 月23 日勤労感謝の日)などの祭日は、祝日として残されています。
 また、天長節祭(天皇陛下の御誕生日)関係として、今上天皇(12 月23 日)、昭和天皇(4 月29 日昭和の日)、明治天皇(11 月3 日文化の日)がありますが、戦前から祝日とされています。紀元節(2 月11 日建国記念の日)ももともと祝日です。
 このように、現在も「祝祭日」という言葉がよく使用されますが、いわゆる「旗日」は、現在は法律上はすべて「祝日」です。かといって、戦前の祭日が祝日として残されているものもありますので、祝祭日という表現が絶対に誤りとまでは言いません。

【祝日法と労働基準法】
 貴社従業員ご指摘の祝日法の第3 条第1 項は、確かに『「国民の祝日」は、休日とする。』と規定しています。しかし、貴社のご指摘の通り、祝日法が強行法規であれば、祝日に仕事ができなくなってしまいます。一方、労働基準法第35 条第1 項は、「使用者は、労働者に対して、毎週少くとも1 回の休日を与えなければならない。」と規定しています。労働基準法は、強行法規です。ちなみに同第2 項は、「前項の規定は、4 週間を通じて4 日以上の休日を与える使用者については適用しない。」としています。
 以上から、原則として毎週1 回の休日が付与されていれば、祝日に就業させても問題ないという結論になります。祝日法と労働基準法の関係について、行政通達が出されていますので、紹介します(昭和41 年7 月14 日基発739 号)。
 「国民の祝日に関する法律は、国民の祝日に休ませることを強制的に義務づけをすのでなく、労働基準法は、毎週1 回又は4 週4 日以上の休日を与えることを義務づけているが、この要件を満たすかぎり、国民の祝日に休ませなくても労働基準法違反とならない。」

【今後の検討事項】
 以上の通り、回答としまして、貴社の現在の休日取扱いは、合法です。
 さて、ご質問内容だけではわかりませんが、今後の祝日の取扱いについて考えてみます。@従来のまま変更無し、A日によっては、年次有給休暇取得を奨励する、B形式的に祝日勤務しているが、休日とすることも可能な場合は、年次有給休暇の計画付与を検討、C恒常的に残業時間が多い場合等は、祝日を休日として、一定期間を平均して1 週間あたり40 時間以下とする変形労働時間制の導入を検討、等の対応が考えられます。

回答者  特定社会保険労務士 安藤 政明

人事労務全般、就業規則・諸規程、監督署調査、労働紛争、社会保険、労災、給与計算、契約書
安藤社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士・行政書士・一級FP技能士/CFP 安藤 政明
特定社会保険労務士・第二種衛生管理者 箭川 亜紀子
810-0041福岡市中央区大名2-10-3-シャンボール大名C1001
TEL 092-738-0808/FAX 092-738-0888/
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