そこが知りたい!労働法

                     前へ<<               >>次へ
福岡!企業!元気!のためのワンポイントQ&A 《平成25年5月号》
賃金締切日及び支払日の変更
  質 問

【質問者】
 運送業(正社員20 名)

【質問内容】
 当社は、運送業を営む株式会社で、従業員数は正社員20 名です。給与計算の締切日は毎月末日で、支払日は当月25 日です。
 以前はあまり問題になることがありませんでしたが、最近は25 日に給与を受け取って、翌日から来なくなる労働者が生じるようになりました。末日までの給与を先渡ししていますので、こういうことが続くと本当に嫌な気分になります。
 そこで、教えていただきたいことが2 つあります。@月給制ですが、25 日以降欠勤した期間分の先渡し給与を返還させることができるかどうか、A給与締切日・支払日を変更することができるかどうか、もし変更が可能なら末日締切翌月10 日払いで良いかどうか、です。宜しくお願い致します。

  回 答

 【賃金支払五原則】
 給与に関する事項は、労使間において極めて重要な労働条件ですが、給与に対する労働法上の規制はほとんどありません。最低賃金を下回ってはならないことの他には、「賃金支払五原則」があるくらいです。まずは、この五原則を確認します。
 @通貨払の原則(現物給与等は×で、通貨で支払うことを要する)
 A直接払の原則(代理人等への支払は×で、本人に直接支払うことを要する)
 B全額払の原則(一部払いや天引き等は原則×で、全額を支払うことを要する)
 C毎月一回以上払の原則(毎月1 回以上支払日を要する)
 D一定期日払の原則(賃金支払日は一定期日とすることを要する)

【締切日支払日の変更】
 締切支払日の変更が、五原則Dに抵触するかどうかという問題です。結論からいうと、決められた日に支払うことが原則で、その決められた日の変更を禁止するものではありません。従いまして、締切日・支払日の変更は可能です。
 ただ一点問題があります。末日締切・当月25 日支払から末日締切翌月10 日支払へ一気に変更すると、例えば5 月分は5 月25 日払、6 月分は7 月10 日払となって6 月中に給与支払日がなくなってしまうことです(五原則Cに牴触)。これは違法なので、いったん6 月分の前半半月分を6 月25 日に支払い、同後半半月分を7 月10 日に支払うというような流れをつくることが必要となります。

【その他の注意事項】
 その他注意したい点として、一般に25 日から月末にかけて口座振替等が予定されている方が多いことです。@一時貸付制度、Aもし賞与制度がある場合は賞与支払月に合わせて変更、等のご検討も必要かと思います。

回答者  特定社会保険労務士 安藤 政明

人事労務全般、就業規則・諸規程、監督署調査、労働紛争、社会保険、労災、給与計算、契約書
安藤社会保険労務士事務所
特定社会保険労務士・行政書士・一級FP技能士/CFP 安藤 政明
特定社会保険労務士・第二種衛生管理者 箭川 亜紀子
810-0041福岡市中央区大名2-10-3-シャンボール大名C1001
TEL 092-738-0808/FAX 092-738-0888/
                     前へ<<               >>次へ
>>そこが知りたい!労働法リストに戻る