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【社会保険適用拡大】
社会保険適用の基準は、原則は大雑把に「週30 時間以上」です。年収は関係ありません。平成28 年10 月より、「501 人以上」の事業所に限って「週20 時間以上、かつ月8.8 万円以上(昼間学生を除く)」も適用されることになりました。令和4 年10 月から「101 人以上」、令和6 年10 月から「51 人以上」に適用拡大されました。
ところで最低賃金が全国1000 円を超えることになり、週20 時間以上労働すれば確実に8.8 万円以上となることが見えてきました。そのため、「月8.8 万円以上」の要件は廃止され、「週20 時間以上(昼間学生を除く)」が基準となることが決まりました。
その上で、今後の適用拡大に関する改正予定は、次のとおりです。
・令和9 年10 月〜 36 人以上
・令和11 年10 月〜 21 人以上
・令和14 年10 月〜 11 人以上
・令和17 年10 月〜すべての事業所
人数の数え方は、被保険者数で数えます。貴院の場合、パート職員10 名は被保険者ではありませんから、職員数等が変わらなければ、令和14 年10 月からパート職員も適用されることになる見込みです。どうしても社会保険に加入したくない場合は、所定労働時間を「週20 時間未満」とするしかありません。
【在職老齢年金】
年金受給資格者が在職する場合の年金カットの制度は、在職老齢年金制度といいます。簡単に説明すると、「年金額+(年収÷ 12)」が51 万円(令和7 年)を超える場合、超えた額の半分に相当する額が年金カット額となります。年収500 万円(÷ 12 ≒41.6 万円)なので、年金が約月9.4 万円以上なら51 万円を超過します。仮に年金18万円程度の場合、年金+給与が約60 万円なので、超過する約9 万円の半分にあたる4.5万円程度が年金からカットされていると思われます。
この「51 万円」とされる基準が、大幅に引き上げられることが決まりました。令和8年4 月から、一気に「62 万円」に引き上げられます。この結果、お二人の職員は、令和8 年4 月以降も給与が大きく増えなければ、年金は満額受給される見込みです。
【厚生年金の標準報酬月額】
社会保険料は、「標準報酬月額×料率」で保険料が決まります。この標準報酬月額には、上限があります。現在、健康保険は139 万円(135.5 万円以上)、厚生年金は65万円(63.5 万円以上)です。給与月額が63.5 万円以上であれば、120 万円でも200 万円でも厚生年金保険料は同じ上限額となります。
この上限額について、次のとおり標準報酬月額が段階的に引き上げられることが決まりました。
・令和9 年9 月〜 68 万円
・令和10 年9 月〜 71 万円
・令和11 年9 月〜 75 万円
3 年連続引き上げで、最終的に上限額は現在より10 万円増えることになります。10万円の差は、厚生年金保険料率183/1000 のままであれば月18,300 円(労使折半)の負担増です。
回答者 特定社会保険労務士 安藤 政明
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