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【キャリアアップ助成金】
貴社が考えている助成金は、キャリアアップ助成金の正社員化コースと思われます。この助成金は、非正規雇用を正規雇用に移行させることを目的とする助成金です。しかし、現状を見ると、貴社のように本来正社員雇用のはずなのに、助成金受給だけのためにわざわざ非正規雇用する事業所が存在します。助成金の助成目的は「非正規(有期)を正規に移行すること」なのに、助成金が存在することで逆に非正規雇用を生み出す制度となっているわけです。最近の雇用情勢等を鑑みて、根本的に見直すか廃止すべき助成金制度といえます。しかし、制度として未だ存在するわけですから、合法的に申請するのであれば不正受給というわけではありません。
【遡って非正規化】
ちょうど令和8 年2 月11 日のネットニュース(FNN プライムオンライン)にて、「助成金啓発団体が不正受給を指南と証言『まるで受け子の気分』正社員を“非正規化”と偽り1 人最大80 万円…国会議員の姿も」という記事が配信されました。この記事の「助成金啓発団体」がやったこととして、記事には「採用当初から正社員だったにもかかわらず、契約書を「有期雇用(契約社員)で雇った」と書き換える。
その上で、同じ社員を「正社員に転換した」とする書類を作成すれば、書面上は「契約社員→正社員」が成立したと装うことができ、助成金の審査をすり抜ける可能性があるという。労働局から疑義が示された場合には、「最初に作成した“正社員”の雇用契約書が誤りだった」と弁解させ、企業と従業員の間でも口裏を合わせるよう指南していたという。」と書かれています。まさに、貴社が依頼されているコンサル会社と同じ手口です。
ご質問への回答として、大丈夫ではないどころか、完全な不正受給であり、刑法上の詐欺罪に問われかねません。
【どうすべきか】
現在「契約社員」ということは、まだ正社員転換前で、実際に助成金を受給したわけではないと思われます。そうであれば、助成金支給申請をしなければ、不正受給にはなりません。コンサル会社とは直ちに縁を切って下さい。
また「契約社員」は、正社員として入社したのに、「会社の都合で会社が助成金をもらうために契約社員にされた」と感じていると思われます。不信感を抱いている可能性も考えられます。事情を説明した上で、即時正社員に戻してください。これをしておかないと、後日「会社は助成金を不正受給した」とSNS で発信されることが考えられる等、とにかく何一つ良いことはありません。
【不正の誘引】
既述の通り、キャリアアップ助成金正社員コースの存在が、不正受給を誘引している状況です。助成金が欲しい事業所は「最初の半年だけ有期で、その後は正社員に」とか言って雇用します。制度の趣旨から、この時点で不正の可能性が考えられます。小職も偶に相談を受けますが、基本的に関与いたしません。
回答者 特定社会保険労務士 安藤 政明
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