司法書士のつぶやき

                     前へ<<               >>次へ
福岡!企業!元気!のための知っておきたい会社の法律知識 《平成26年12月号》
登記名義人の表示変更、更生について

 みなさん、こんにちは。司法書士の安藤です。
 今回は不動産登記における登記名義人の表示変更・更正登記について説明いたします。

【当該登記の必要性】
 不動産の売買において登記簿上の所有者として登記されている売主については、権利証や印鑑証明書の提出が必要となりますが、売主の登記簿上の表示と提出する印鑑証明書の表示とが一致しない場合、その人物が登記簿上に表示された名義人と同一人物なのかどうかを法務局で判断することができません。
 そこで、この場合は売買による所有権移転登記をする前提として、まずは登記簿上の売主の表示と印鑑証明書上の表示とを一致させるための登記が必要となります。この場合、登記簿上の住表示との不一致が引越しによる住所の移転や結婚による氏の変更など事後的なものである場合は表示変更登記を、そもそも登記時に誤った表示で登記されている場合は更正登記をすることになります。

【当該登記の重要性】
 登記実務上は、これらの登記は所有権移転登記や抵当権設定登記等の他の登記の前提としてなされるのが大半です。それにもかかわらず、うっかり見逃して、前提としての登記をすることなく他の登記を申請しても、原則的にはすべて却下事由に該当し、申請を取り下げざるをえなくなってしまいます。その結果、不動産決済(立会)当日における登記全てが受け付けられず当事者をはじめ、融資銀行にも多大な損害を与えてしまう可能性があります。それどころか、再申請までの間に、万が一、全く別の登記(例えば、別の第三者への所有権移転登記や差押登記または第三者による抵当権設定登記等)が申請されてしまうと、当初予定していた登記をすることができず、取り返しのつかないことになってしまいます。その意味では、前提としての登記名義人の表示変更・更正登記については、最新の注意を払ってその要否を判断しなければいけません。
 これらの判断は、一見、簡単なように思われがちですが、住居表示の実施があったり、同一の文字でも旧字体が適用されていたり等と難しい論点もありますので迷った時は是非ご相談ください。

回答者  司法書士 安藤 功
会社設立・役員変更・増資・組織再編・事業承継等に関する各種登記手続き
安藤功司法書士事務所
司法書士 安藤 功
〒810-0042 福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル5階
                     前へ<<               >>次へ
>>司法書士のつぶやきリストに戻る