司法書士のつぶやき

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福岡!企業!元気!のための知っておきたい会社の法律知識 《平成27年9月号》
債務超過会社の減資について

 みなさん、こんにちは。司法書士の安藤です。
今回は、会社の登記に関して、債務超過にある会社の資本減少(減資)について触れてみたいと思います。

【質問】
 負債の額が資産の額よりも大きい、いわゆる債務超過の株式会社が税金の軽減の目的から、資本減少をすることを考えております。
 資本減少については、何ら制限はないとする判例がありますが、問題ないと考えてよろしいでしょうか。

【回答】
 結論からいくと、問題ないと考えて大丈夫です。
 以下に、考え方を示しますので、ご参照ください。

1.債務超過とは
 貸借対照表(英語ではバランスシート)は、「資産=負債+純資産」の形式で構成され、左右の合計は一致します。
 これを書き変えると、「資産−負債=純資産」となります。
 さて、債務超過とは、貸借対照表の負債が資産を上回っている状態(負債超過)で、純資産がマイナスになりますから、業績の悪さ、財務内容の悪さを表しています。債務超過なのに、なぜ会社が存続できるのかと思われるかもしれませんが、会社はお金が回っている限りは倒産しません。

2.減資は内部の科目振替え行為に過ぎない
 資本金の額を例えば1000万円減少させたとすると、この1000万円は、原則として、その他資本剰余金になり、会社の外部に資金が流出することはありません。
 このように、減資は単なる勘定科目間の移動に過ぎませんから、資本金の額を0円まで減少することも可能であり、減少額に制限はありません。ただし、その他資本剰余金になりますと、剰余金の配当や自己株式の取得で社外に資金が流出しやすくなるため、資本金の額の減少については、債権者保護手続(官報公告+個別通知)が必須になっています。

 減資は債権者保護手続き等の手続きが複雑ですので、ご検討される方は是非、司法書士にお尋ねください。

回答者  司法書士 安藤 功
会社設立・役員変更・増資・組織再編・事業承継等に関する各種登記手続き
安藤功司法書士事務所
司法書士 安藤 功
〒810-0042 福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル5階
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