司法書士のつぶやき

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福岡!企業!元気!のための知っておきたい会社の法律知識 《平成28年9月号》
「株主リスト」が添付書面に!

 皆さん、こんにちは。司法書士の安藤です。今回は、会社の登記において平成28年10月1日より商業登記規則の改正がありますので、事前に告知をしておきたいと思います。

 この改正により、今年の10月以降にする登記申請において、登記すべき事項が株主総会の決議を要する場合には、株主総会議事録の他に別途「株主リスト」を添付する必要が出てきます。

 この「株主リスト」とは、以下の事項を称するための書面のことをいいます。

 議決権総数の3分の2に達するまでの人数の株主(もしそれが11人以上であれば上位10名の株主の)氏名または名称、住所、株主ごとの株式の数と議決権の数、株主ごとの議決権割合

 上記が「株主リスト」となります。いわゆる、「株主名簿」は株式の取得年月日等も記載事項となりますので、同一のものではないようです。

 では、10月1日以降に例えば目的変更登記を申請する場合に、株主リストには何名の株主を載せれば良いのか具体例で考えて見ましょう。

 【例】普通株式100株発行
 株主数5名(A氏30株 B氏25株 C氏25株 D氏10株 E氏10株)

 上記の場合に、100株すべての議決権が有効であるとして、目的変更登記に添付する株主リストに誰の住所・氏名を記載することになるのでしょうか。議決権総数の3分の2に達するまでの人数の株主とありますので、この要件を満たそうとすると例えばA氏、B氏、C氏の情報を記載することになります。

 この改正は、実務においては一手間増えるものであります。なぜこのようになったのでしょうか。これは、株主総会議事録の偽造により役員になりすまして勝手に役員変更登記等を行い、会社の財産を処分するなどの犯罪行為が後をたたず、消費者保護・犯罪抑止の観点から登記の真実性の担保を強化するのが狙いであるようです。

 この改正が、上記趣旨をどこまでカバーできるかは分かりませんが、我々実務に携わる司法書士としては非常にインパクトのある改正ですので、今後の細かい実務対応にも注意しつつ、準備をしていきたいと思います。今回の改正でご不明な点がありましたら、是非、司法書士にお尋ねください。

回答者  司法書士 安藤 功
会社設立・役員変更・増資・組織再編・事業承継等に関する各種登記手続き
安藤功司法書士事務所
司法書士 安藤 功
〒810-0042 福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル5階
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