土地家屋調査士の仕事って?

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福岡!企業!元気!土地建物のワンポイント 《令和2年5月号》
建物の登記ができないもの

 今月は建物表題登記ができないものを説明したいと思います。
 建物であることは間違いないのですが、不動産登記法で登記できないものがあります。全体として人貨滞留性がないものが登記できません。
 人貨滞留性とは人や貨物がとどまらないもののことを言い、一定の滞留時間などを判断して登記できるかできないかを判断します。
 例えば、ATMのみの建物は基本的には登記できません。高速道路の料金所も同様に登記対象となりません。独立した管理室(マンションは除く)ポンプ室なども登記対象ではありません。
 特に単独での取引性がないことも主たる建物となりえないので、そういった建物は不動産登記法上で登記することができません。

 しかし、ATMのある建物と店舗が1棟の建物となっていれば、これは登記対象となります。
 また、規模が大きい取引性のある建物となれば登記対象となります。
 最後に先例で回答がありますので記載します。

 ATMカプセルは主たる建物として登記の対象にはならない。外気分断性や定着性をそなえている建造物であっても、用途性の判断については、建造物の規模と利活用者の滞留時間をも含め考慮されるべきであり、取引性や従属的附属建物性についても所有者の意思に基づくものであるから、本件照会の係るATMカプセルは、用途性を備えていないものであり、ATMを囲む堅固な覆いに過ぎないものと解して、主たる建物でないものとして扱うことが、社会通念に合致するものと考える。(平成19・4・13民二895)

 今月は以上です。

回答者 土地家屋調査士 福田 憲太郎
福田土地家屋調査士事務所
土地家屋調査士 福田 憲太郎
福岡市対馬小路4-1-101
TEL092-263-5051 FAX092-263-5041
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