税金ワンポイント

                     前へ<<               >>次へ
福岡!企業!元気!のための税金ワンポイント 《平成24年3月号》
借入金の平均調達金利

   前月号で,法人が無利息又は通常の利率よりも低い利率で金銭の貸付けを行った場合の税務上の取扱いについて取り上げましたが,今回は,「借入金の平均調達金利」についてです。

T 利息相当額の評価(所基通36-49)

 使用者が役員又は使用人に貸し付けた金銭の利息相当額については,当該金銭が使用者において他から借り入れて貸し付けたものであることが明らかな場合には,その借入金の利率により,その他の場合  には,貸付けを行った日の属する年の前年の11月30日を経過する時における日本銀行法第15条第1項第1号の規定により定められる商業手形の基準割引率に年4%の利率を加算した利率(その利率に0.1%  未満の端数があるときは,これを切り捨てる。)により評価する。

U 課税しない経済的利益・・・・・・金銭の無利息貸付け等(所基通36-28)

  使用者が役員又は使用人に対し金銭を無利息又は所基通36-49により評価した利息相当額に満たない利息で貸し付けたことにより,その貸付けを受けた役員又は使用人が受ける経済的利益で,次に掲げるものについては,課税しなくて差し支えない。
 @ 災害,疾病等により臨時的に多額な生活資金を要することとなった役員又は使用人に対し,その資金に充てるために貸し付けた金額につき,その返済に要する期間として合理的と認められる期間内に受ける経済的利益
 A 役員又は使用人に貸し付けた金額につき,使用者における借入金の平均調達金利(例えば,当該使用者が貸付けを行った日の前年中又は前事業年度中における借入金の平均残高に占める当該前年中又は前事業年度中に支払うべき利息の額の割合など合理的に計算された利率をいう。)など合理的と認められる貸付利率を定め,これにより利息を徴している場合に生じる経済的利益
 B @及びAの貸付金以外の貸付金につき受ける経済的利益で,その年(使用者が事業年度を有する法人である場合には,その法人の事業年度)における利益の合計額が5,000円(使用者が事業年度を有する法人である場合において,その事業年度が1年に満たないときは,5,000円にその事業年度の月数(1月未満の端数は1月に切り上げた月数)を乗じて12で除して計算した金額)以下のもの

V 借入金の平均調達金利の計算式

  借入金の平均調達金利(%)
  =(計算対象期間中に支払うべき利息の額)÷(計算対象期間中における借入金の平均残高)×100

W 計算例

  1,設例
  ・計算対象期間  平成22年4月1日から平成23年3月31日
  ・借入金の状況
    借入金A 平成22年3月31日現在残高300万円 毎月5万円ずつ返済
    借入金B 平成22年3月31日現在残高174万円 毎月3万円ずつ返済
    借入金C 平成22年6月10日に100万円借入れ,同年12月9日に一括返済
  ・計算対象期間中の支払利息の額  12万円
 2,借入金の平均残高の計算(簡便計算・・・借入金残高の単純平均を使用する方法)
  @ 計算対象期間内の各月末ごとに借入金の残高を求め,これを合計します。
     H22.4.30・・・ (A)295万円+(B)171万円=466万円
     H22.5.31・・・ (A)290万円+(B)168万円=458万円
     H22.6.30・・・ (A)285万円+(B)165万円+(C)100万円=550万円
     H22.7.31・・・ (A)280万円+(B)162万円+(C)100万円=542万円
     H22.8.31・・・ (A)275万円+(B)159万円+(C)100万円=534万円
     H22.9.30・・・ (A)270万円+(B)156万円+(C)100万円=526万円
     H22.10.31・・・(A)265万円+(B)153万円+(C)100万円=518万円
     H22.11.30・・・(A)260万円+(B)150万円+(C)100万円=510万円
     H22.12.31・・・(A)255万円+(B)147万円+(C)0万円=402万円
     H23.1.31・・・ (A)250万円+(B)144万円=394万円
     H23.2.28・・・ (A)245万円+(B)141万円=386万円
     H23.3.31・・・ (A)240万円+(B)138万円=378万円
     各月末の借入金の残高の合計額 5,664万円
  A @で計算した合計額を,借入金の残高を求めた月数で除して,借入金の平均残高を計算します。
    5,664万円÷12か月=472万円
 3,借入金の平均調達金利の計算
   借入金の平均調達金利=12万円÷472万円×100≒2.54%
 4,借入金の平均残高の計算(原則的な方法)
   借入金の平均残高の計算方法は,上記2の簡便計算の他に,借入金額及び借入期間の加重平均を使用する方法もあります。

回答者 税理士 鵜池 隆充
鵜池隆充税理士事務所 税理士鵜池隆充
〒810-0073福岡市中央区舞鶴2-4-13九州DKビル6階
TEL:092-771-0361 FAX:092-771-0362
                     前へ<<               >>次へ
税金ワンポイントリストに戻る