税金ワンポイント

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福岡!企業!元気!のための税金ワンポイント 《平成24年8月号》
代償分割又は換価分割と譲渡所得B

 代償分割か換価分割かが争われた税務訴訟には,平成24年6月号においてご紹介したもの以外にも次のようなものがあります。

東京地裁 判決年月日 平成12年4月21日 (棄却)(原告控訴)
判示事項
(1) 本件調停により,他の相続人らが本件不動産を共同相続した上で,これを売却し,その売却 代金を他の相続人らの間で分割する換価分割が行われたというべきであるから,本件不動産に かかる譲渡所得のすべてが納税者に帰属するものではないとの納税者の主張が,納税者は本件 譲渡による所得がすべて自らに帰属するとして申告していること,他の相続人らは,本件譲渡 代金○○万円から譲渡に要した費用○○万円を控除した○○万円全額ではなく,○○万円を受 領しただけであり,納税者が差額○○万円を受領したことに照らし,原告は本件不動産を取得 した者として振る舞い,その認識を有していたというべきであるとして排斥された事例
(2) 本件調停においては本件調停条項どおりに,原告が他の相続人らに代償金の支払義務を負担 することにより本件不動産を単独相続する遺産分割が行われたものではなく,他の相続人らが 本件不動産を取得した上で,納税者が直ちにこれを買い取って売却し,その売却代金で右買取 代金を支払う旨合意したものであるから,本件不動産にかかる譲渡所得のすべてが納税者に帰 属するものではないとの納税者の主張が,本件調停条項は,遺産分割として他の相続人らが本 件不動産を取得し,さらに,他の相続人らの間の共有物分割として,これを納税者に売却する こと(売買)により換価し,その代金を分割したとみるよりは,その文言どおりに代償分割が なされたとみる方が,金銭を取得することによって遺産分割に決着を付けたという他の相続人 らの認識に合致することが,それぞれ認められ,これらを総合すれば,納税者は,本件調停条 項記載のとおり,本件調停による遺産分割の結果,他の相続人らに代償金合計○○万円の支払 務を負担して本件不動産を単独相続したというべきであるとして排斥された事例
(3)〜(4) 省略

(TAINS)Z247-8640より引用
東京地裁 判決年月日 平成9年1月20日 (棄却)(原告控訴)

判示事項
(1) 省略
(2) 調停による遺産分割の合意は代償分割ではなく実質的に換価分割であり,訴外甲社との等価 交換契約も納税者が他の相続人の代表者として締結したものであるとの納税者の主張が,本件 遺産に係る遺産分割調停の条項上,納税者は本件土地を単独取得し,その代償として他の相続 人に代償金を支払うこととされ,また,右代償金の支払いに関しては,遅延損害金の支払及び 抵当権の設定という換価分割では通常考えられない約定が設けられているから,右調停による 遺産分割の合意は換価分割ではなく代償分割であるとして排斥された事例
(3)相続により取得した本件土地を代償金支払のために譲渡したことにより他の相続人が負担 すべき値上がり益についてまで納税者が課税されることは実質所得者課税の原則に違反する との納税者の主張が,納税者が本件土地の譲渡所得課税を受けることとなるとしても,それは 納税者が増加益を含む本件土地を取得するという分割方法(代償分割)を選択した結果に基づ くものであり,実質所得者課税の原則に反するものではないとして排斥された事例
(4)〜(5) 省略

(TAINS)Z222-7839より引用

横浜地裁 判決年月日 平成6年3月7日 (棄却)(原告控訴)
判示事項
(1) 代償分割を内容とする遺産分割協議書は作成されているが,実体は換価分割としての遺産分 割協議の合意が成立していたとの納税者らの主張が,本件遺産分割協議は代償分割であるとし て排斥され,納税者らに対する本件物件の分離長期譲渡所得の更正処分は適法であるとされた 事例
(2)〜(3) 省略

(TAINS)Z200-7296より引用

千葉地裁 判決年月日 昭和55年1月30日 (棄却)(確定)
判示事項
(1) 本件遺産分割協議は,いわゆる換価分割でなく代償分割を合意したものであると認定された 事例
(2)〜(4) 省略

(TAINS)Z110-4535より引用
回答者 税理士 鵜池 隆充
鵜池隆充税理士事務所 税理士鵜池隆充
〒810-0073福岡市中央区舞鶴2-4-13九州DKビル6階
TEL:092-771-0361 FAX:092-771-0362
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