税金ワンポイント

                     前へ<<               >>次へ
福岡!企業!元気!のための税金ワンポイント 《平成25年8月号》
事業所得と給与所得との区別

T 概要
人的役務の提供の対価が,税務上,事業所得と給与所得のいずれに該当するかは,その役務提供の内容を総合的に考慮して判断する必要があります。事業所得と給与所得のどちらに該当するのかによって,所得税や消費税の処理がかわってきます。

U 裁判例・裁決例
事業所得と給与所得のいずれに該当するかが争われた裁判例・裁決例の一部のものの抜粋を次にご紹介します。

1,東京地方裁判所平成 23 年(行ウ)第 127 号所得税更正処分等取消請求事件(棄却)(確定)
平成 24 年 9 月 21 日判決

1 争点(1)(原告が各病院から得た収入は事業所得か給与所得か)について
(1) 事業所得と給与所得との区別の基準
 所得税法 27 条 1 項は,事業所得について,「農業,漁業,製造業,卸売業,小売業,サービス業その他の事業で政令で定めるものから生ずる所得(山林所得又は譲渡所得に該当するものを除く。)をいう。 」 と規定し,この規定の委任を受けた同法施行令 63 条は, 1 号ないし 11 号に具体的な事業を列挙した上で, 12 号において「前各号に掲げるもののほか,対価を得て継続的に行う事業」と規定している。そして,ここにいう事業所得とは,自己の計算と危険において独立して営まれ,営利性,有償性を有し,かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得をいうと解するのが相当である(最高裁判所昭和 56 年 4 月 24日第二小法廷判決・民集 35 巻 3 号 672 頁参照) 。
 これに対し,所得税法 28 条 1 項は,給与所得について,「棒給,給料,賃金,歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る所得をいう。」と規定しているところ,給与所得とは,雇用契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付をいうと解するのが相当であり,給与所得該当性の判断に当たっては,給与支給者との関係において何らかの空間的,時間的な拘束を受け,継続的ないし断続的に労務又は役務の提供があり,その対価として支給されるものであるかどうかを重視するのが相当である (上記最高裁判決参照) 。  このように,事業所得の本質は,自己の計算と危険において独立して反復継続して営まれる業務から生ずる所得である点にあり,給与所得の本質は,自己の計算と危険によらず,非独立的労務,すなわち使用者の指揮命令ないし空間的,時間的な拘束に服して提供した労務自体の対価として使用者から受ける給付である点にあると考えられる。
 そうすると,営利性や有償性を有し反復継続して行われる業務ないし労務提供という経済的活動から得られる収入が事業所得に該当するか給与所得に該当するかは,自己の計算と危険によってその経済的活動が行われているかどうか,すなわち経済的活動の内容やその成果等によって変動し得る収益や費用が誰に帰属するか,あるいは費用が収益を上回る場合などのリスクを誰が負担するかという点,遂行する経済的活動が他者の指揮命令を受けて行うものであるか否かという点,経済的活動が何らかの空間的,時間的拘束を受けて行われるものであるか否かという点などを総合的に考慮して,個別具体的に判断すべきである。

2,マッサージ師に支払った外注費は,所得税法第 28 条に規定する給与等に該当するので,消費税法第 2 条第 1 項第 12 号に規定する課税仕入には該当しないとされた事例
平成 12 年 2 月 29 日裁決

(要旨)
 請求人は,請求人がマッサージ師に支払った外注費は,所得税法第 28 条に規定する給与等を対価とする役務の提供に係るものではないので,消費税法第 2 条第 1 項第 12 号に規定する課税仕入には該当する旨主張する。
 しかしながら,請求人と各マッサージ師との契約書等によれば,各マッサージ師はマッサージ業務を遂行するに当たって[1]営業時間,施術コース及び施術料金,業務時間,服装,休憩等の各項目にわたって定められた規則に従って業務に従事していること, [2]顧客に対する事故の責任は請求人にあることなどから,請求人と各マッサージ師との間には雇用関係があるということができ,本件外注費は給与等を対価とする役務の提供に係るものに該当し消費税法第 2 条第 1 項第 12 号に規定する課税仕入には該当しないと認められる。
 また,請求人は,請求人がマッサージ師に支払った外注費は,給与ではないから給与等に係る所得税を徴収する義務を負わない旨主張するが,上記のとおり本件外注費は給与等に該当すると認められ,請求人は,所得税を徴収する義務を負うことになる。

回答者 税理士 鵜池 隆充
鵜池隆充税理士事務所 税理士鵜池隆充
〒810-0073福岡市中央区舞鶴2-4-13九州DKビル6階
TEL:092-771-0361 FAX:092-771-0362
                     前へ<<               >>次へ
税金ワンポイントリストに戻る