税金ワンポイント

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福岡!企業!元気!のための税金ワンポイント 《平成26年3月号》
重加算税C

引き続き, 重加算税について取り上げます。 今回も, 重加算税に関する裁決例の一部をご紹介します。

〜国税不服審判所ホームページより〜

T 免税事業者であるにもかかわらず課税事業者であるかのように装い,基準期間の課税売上高が 1,000 万円を超えている旨の虚偽の記載をして修正申告書を提出した行為は,重加算税の賦課要件である「隠ぺい又は仮装の行為」に当たるとした事例 平成 23 年 4 月 19 日裁決
 《事案の概要》
 本件は,審査請求人(以下「請求人」という。)が,消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)の還付を受ける確定申告をした後,原処分庁の調査によって,確定申告をすべき事業者に該当しない旨の指摘を受け,修正申告書を提出したのに対し,原処分庁が,当該確定申告に先立ち, 請求人が基準期間の課税売上高が 1,000 万円を超えているかのように装った同期間の修正申告書を提出した行為は,国税通則法(以下「通則法」という。)第68 条《重加算税》第 1 項に規定する課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実を隠ぺいし,又は仮装する行為に該当するとして,重加算税の賦課決定処分をしたことから,請求人が, 基準期間における隠ぺい又は仮装行為は、課税期間の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の隠ぺい又は仮装行為には該当しないとして、当該処分のうち過少申告加算税相当額を超える部分の取消しを求めた事案である。

 《裁決要旨》
 請求人は, 基準期間の課税売上高は, 当該課税期間の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実ではないから, 基準期間の課税売上高が 1,000 万円を超えているかのように装った同期間の修正申告書を提出した行為は, 重加算税の賦課要件である隠ぺい又は仮装行為に当たらず,また,平成 12 年 7 月 3 日付課消 2−17 ほか 5 課共同「消費税及び地方消費税の更正等及び加算税の取扱いについて(事務運営指針)」の第 2 のWの 5 の定め(本件留意事項)に準じて解釈すれば, 本件は「重加算税を課すべきこととならない」ときに該当するから,重加算税の賦課決定処分は違法である旨主張する。
 しかしながら,国税通則法第 68 条《重加算税》第 1 項に規定する事実の隠ぺいとは,売上除外, 証拠書類の廃棄等, 課税要件に該当する事実の全部又は一部を隠すことをいい, 事実の仮装とは,架空仕入れ,架空契約書の作成,他人名義の利用等,存在しない課税要件事実が存在するように見せかけることをいうと解するのが相当であるところ, 請求人が免税事業者であるか課税事業者であるかは, 消費税等の納税義務者に該当するか否かという課税要件事実そのものであり, 不正に消費税の還付を受けるため, 免税事業者であるにもかかわらず課税事業者であるかのように装って確定申告書を提出した行為は, 重加算税の賦課要件を充足する。
 なお, 本件留意事項は, 基準期間の隠ぺい又は仮装行為が, 客観的にみて課税期間の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の隠ぺい又は仮装行為と評価できない場合には, 重加算税の賦課要件を満たさないことに留意すべき旨を定めたものにすぎないと解すべきであり, 基準期間の課税売上高の仮装行為が, 課税期間の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の仮装に該当すると評価できる本件は, 本件留意事項が定める場合とは前提を異にするというべきである。

U 法人税法施行令(平成 22 年政令第 51 号による改正前のもの)第 72 条の 5 に規定する使用人に対する賞与の支給額の通知につき, 国税通則法第 68 条第 1 項に規定する仮装は認められないとした事例 平成 24 年 4 月 20 日裁決
 《事案の概要》
 本件は,審査請求人(以下「請求人」という。)が使用人に対する未払賞与の額及び当該未払賞与に係る請求人が負担すべき社会保険料の額を損金の額に算入したことについて, 原処分庁が, 当該未払賞与の額は, 当該事業年度終了の日までに, その支給額を各人別に通知したかのごとく仮装して計上したものであり損金の額に算入されないなどとして, 当該未払賞与等の額について, 法人税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分を行ったのに対し, 請求人が, 当該未払賞与等の額を損金の額に算入したことについて, 事実の仮装はないとして,重加算税の賦課決定処分のうち, 過少申告加算税相当額を超える部分の取消しを求めた事案である。

 《裁決要旨》
 原処分庁は, 請求人が本件事業年度の損金の額に算入した使用人に対する未払賞与の額に関し,法人税法施行令(平成 22 年政令第 51 号による改正前のもの)第 72 条の 5《使用人賞与の損金算入時期》第 2 号の「各人別に, かつ, 同時期に支給を受けるすべての使用人に対して」なすべき通知を, 翌事業年度の決算賞与支給明細書の交付により行ったにも関わらず, 取締役会議事録及び人事総務部長から部下職員に対する電子メールの案内文に, これと異なる記載をするなどして, 上記の通知を本件事業年度終了の日までにしたかのように事実を仮装したと認められるから,国税通則法第 68 条《重加算税》第 1 項に規定する事実の仮装に当たる旨主張する。
 しかしながら, 上記の取締役会議事録及び案内文に記載された日付は, 人事総務部長が従前からの事務処理手順を踏襲して年内最後の営業日としたことがうかがえる上, その記載内容は, 従業員に決算賞与の支給を案内するにとどまり, 各人別の通知の日を記載したものではないことなどからすれば,請求人が上記の通知の日を仮装したとは認められない。
                                                    次号へ続く

回答者 税理士 鵜池 隆充
鵜池隆充税理士事務所 税理士鵜池隆充
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