T 現行の制度
1,給与所得の金額(所法 28A)
給与所得の金額は,その年中の給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額とします。
2,給与所得控除額(所法 28B)
給与所得控除額は,次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とします。
一 その年中の給与等の収入金額が 180 万円以下である場合
当該給与等の収入金額×40%(当該金額が 65 万円未満の場合には,65 万円)
二 その年中の給与等の収入金額が 180 万円を超え 360 万円以下である場合
当該給与等の収入金額×30%+18 万円
三 その年中の給与等の収入金額が 360 万円を超え 660 万円以下である場合
当該給与等の収入金額×20%+54 万円
四 その年中の給与等の収入金額が 660 万円を超え 1,000 万円以下である場合
当該給与等の収入金額×10%+120 万円
五 その年中の給与等の収入金額が 1,000 万円を超え 1,500 万円以下である場合
当該給与等の収入金額×5%+170 万円
六 その年中の給与等の収入金額が 1,500 万円を超える場合
245 万円(上限額)
3,給与等の収入金額が 660 万円未満である場合の給与所得の金額(所法 28C)
その年中の給与等の収入金額が 660 万円未満である場合には,当該給与等に係る給与所得の金額は,上記にかかわらず,当該収入金額を所得税法別表第五(年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表)の給与等の金額として,同表により当該金額に応じて求めた同表の給与所得控除後の給与等の金額に相当する金額とします。
4,給与所得者の特定支出の控除の特例(所法 57 の 2)
居住者が,各年において特定支出をした場合において,その年中の特定支出の額の合計額が次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額を超えるときは,その年分の給与所得の金額は,上記1の残額からその超える部分の金額を控除した金額とします。
一 その年中の給与等の収入金額が 1,500 万円以下である場合
その年中の給与所得控除額の 2 分の 1 に相当する金額
二 その年中の給与等の収入金額が 1,500 万円を超える場合
125 万円
U 給与所得控除額等の改正
1,給与所得控除額の上限額の引き下げ
給与所得控除額の上限額が,平成 28 年分の所得税(平成 29 年度の住民税)については230 万円(給与等の収入金額が 1,200 万円を超える場合の給与所得控除額)に,平成 29 年分以後の所得税 (平成 30 年度以後の住民税)については 220 万円(給与等の収入金額が 1,000万円を超える場合の給与所得控除額)に,漸次引き下げられます。
2,給与所得者の特定支出の控除の特例
上記1の給与所得控除額の上限額の引き下げに伴い,その年中の特定支出の額の合計額が給与所得控除額の 2 分の 1 相当額を超える場合には,一律に,その超える部分の金額を給与所得控除後の残額から差し引くこととされます。
以上
回答者 税理士 鵜池 隆充
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