T 原則
1.地代・家賃、共益費
地代・家賃、共益費などは、その支払方法についての契約内容により原則として次のようになります。
(1)契約や慣習などにより支払日が定められている場合は、その定められた支払日
(2)支払日が定められていない場合は、実際に支払を受けた日
ただし、請求があったときに支払うべきものと定められているものは、その請求の日
(3)賃貸借契約の存否の係争等(未払賃貸料の請求に関する係争を除きます。)に係る判決、和解等により不動産の所有者等が受け取ることになった係争期間中の賃貸料相当額については、その判決、和解等のあった日
(注) 賃貸料の額に関する係争がある場合に、賃貸料の弁済のために供託された金額については、(1)または(2)に掲げる日
2.上記以外のもの
家屋または土地を賃貸することにより一時に受け取る権利金や礼金は、貸し付ける資産の引渡しを必要とするものは引渡しのあった日、引渡しを必要としないものについては、契約の効力発生の日の収入に計上します。
このほか、名義書換料、承諾料、頭金などの名目で受け取るものについても同様です。
また、敷金や保証金は、本来は預り金ですから、受け取っても収入にはなりませんが、返還を要しないものは、返還を要しないことが確定した日にその金額を収入に計上する必要があります。
U 例外
1.不動産等の貸付けが事業として行われている場合
所得税法第26条第1項に規定する不動産等の賃貸料にかかる収入金額は、所得税基本通達36−5《不動産所得の総収入金額の収入すべき時期》により、原則としてその貸付けにかかる契約に定められている賃貸料の支払日の属する年分の総収入金額に算入しますが、その方が不動産等の貸付けを事業的規模で行なっている場合で、次のいずれにも該当するときは、同法第67条《小規模事業者の収入及び費用の帰属時期》の規定の適用を受ける場合を除き、その賃貸料にかかる貸付期間の経過に応じ、その年中の貸付期間に対応する部分の賃貸料の額をその年分の不動産所得の総収入金額に算入すべき金額とすることができます。
(1)不動産所得を生ずべき業務にかかる取引について、その方が帳簿書類を備えて継続的に記帳し、その記帳に基づいて不動産所得の金額を計算していること。
(2)その方の不動産等の賃貸料にかかる収入金額の全部について、継続的にその年中の貸付期間に対応する部分の金額をその年分の総収入金額に算入する方法により所得金額を計算しており、かつ、帳簿上当該賃貸料にかかる前受収益および未収収益の経理が行なわれていること
(3)その方の1年をこえる期間にかかる賃貸料収入については、その前受収益または未収収益についての明細書を確定申告書に添付していること。
(注)「不動産等の賃貸料」には、不動産等の貸付けに伴い一時に受ける頭金、権利金、名義書替料、更新料、礼金等は含まれません。
2.不動産等の貸付けが事業として行われていない場合
その方が不動産等の貸付けを事業的規模で行なっていない場合であつても、上記1の(1)に該当し、かつ、その者の1年以内の期間にかかる不動産等の賃貸料の収入金額の全部について上記1の(2)に該当するときは、所得税法第67条の規定の適用を受ける場合を除き、その者の1年以内の期間にかかる不動産等の賃貸料の収入金額については、上記1の取扱いによることができます。
3.計上時期の変更のあった年分の総収入金額の計算
その賃貸料にかかる収入金額につき賃貸料の支払日により総収入金額を計算していた方が新たに上記1もしくは2の取扱いによることとした場合、または、上記1もしくは2の取扱いにより総収入金額を計算することとしていた方が賃貸料の支払日によることとなった場合には、次によります。
(1)新たに上記1または2の取扱いによることとした年分の前年以前の貸付期間にかかる賃貸料の額のうち、支払日が到来していないため当該前年以前の各年分の総収入金額に算入されていない金額がある場合には、その金額は、新たに上記1または2の取扱いによることとした年分の総収入金額に算入する。
(注) 前払の賃貸料については、たとえば前月払の月額賃貸料の場合には、新たに上記1または2の取扱いによることとした年分は、11か月分の賃貸料を総収入金額に算入します。
(2)上記1または2の取扱いによらないこととなった最初の年分の前年以前に支払日が到来している賃貸料の額のうち、その賃貸料にかかる貸付期間が経過していないため、当該前年以前の各年分の総収入金額に算入されていない金額がある場合には、その金額は、当該最初の年分の総収入金額に算入します。
以上
回答者 税理士 鵜池 隆充
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