財務会計の散歩みち

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福岡!企業!元気!のための財務会計ワンポイント 《平成24年10月号》
「企業会計って何?」

 さて、第2回目の散歩みちですが、前回のテーマに引続き、抽象的な論点を扱ってみたいと思います。
 経営者の皆様は、日ごろ決算書や試算表などを十分に活用されていますでしょうか?
 企業会計について、どの程度厳格にあるいはスピーディーに適用されているでしょうか?
 今回は、企業会計の目的とプロセスについてお話しいたしますが、自社の企業会計にとって、何が必要なのか、どこまで必要なのかを経営の視点から考える材料として頂ければ幸いです。

「財務会計」と「管理会計」
 まず、企業会計の目的を話す前に、企業活動の流れをおさらいしてみましょう。
 企業は、事業を営むことを通じて、ヒト・モノ・カネ・情報を調達し、有用な商品やサービスを市場に提供することにより、経済社会に貢献してゆきます。その過程には、様々な利害関係者存在し、それぞれが信頼関係を保ちながら企業活動を支えていると思います。

 企業の外部の利害関係者には、資本を提供している株主、融資をする銀行、得意先、仕入先、労務を提供する従業員、政府・行政庁などが挙げられます。
 また、企業の内部の利害関係者には、経営者、管理職、業務指示を出す相手としての従業員、監査役などが挙げられます。

 外部の利害関係者に対しては、企業の財政状態や経営成績を開示することによって、経営者としての説明責任を果たしたり、銀行との取引関係を強化したり、申告所得を計算し納税をしたり、あるいは、積極的に広くアピールすることによって投資家の信頼や社会的な信用を得たりします。企業会計のひとつの目的は、このように外部に報告することにより様々な利害関係を調整することにあります。これを「財務会計」といいます。

 一方で、経営者として、経営方針に従い事業計画を策定し、これを実行し、結果を把握・分析・評価し、次への改善につなげてゆかなければなりません。経営者は、内部の利害関係者に対し、事業計画や実行予算を説明し、また、業績の報告を受け、そして経営者自身が評価・改善の経営判断を行います。これらの過程においても、多くの会計データが利用されます。このように、内部の利害関係者に対する情報伝達や経営判断のための会計を「管理会計」と呼び、企業会計のもうひとつの目的を担うものになります。

 それでは、「財務会計」、「管理会計」ごとに、さらに目的を細分化してみますので、貴社のおかれている経営環境の中で、何が必要なのかを考えてみてください。

「財務会計」
 株主に対して :会社法に基づき決算報告を行う(企業会計基準、会社計算規則等)
 債権者に対して :債権者の求めに応じて決算報告を行う(株主へ説明した決算書)
 税務当局に対して :決算書に基づき確定申告書を作成し納税する(税法)
 行政庁に対して :法令上求められている決算報告を行う(各行政法)
 投資家に対して :有価証券報告書を提出する(企業会計基準、金融商品取引法)

 財務会計では、各々会計のルールが定められています。外部の利害関係者は直接経営に携わっているわけではないので、決算書は、企業に対する判断や分析を行うためにとても重要なツールとなります。従って、財務会計では、一般に公正妥当と認められた会計ルールに従って、適正な会計報告を行うことが求められています。

「管理会計」
 事業計画 :経営環境の分析や経営方針に基づく中長期的な業績を検討する
 全社予算 :来期の実行計画の達成状況を全社的に評価する
 部門予算 :各部門として来期の実行計画を予算化し部門業績管理を行う
 標準原価計算 :標準の原価設定を置き、工場の能率を管理する
 投資意思決定 :特定の投資案件の収益性や回収期間を分析し、投資意思決定を行う

 管理会計では、会計をくくる組織単位や期間単位も様々であり、様式も特段定められたものはありません。計数管理の必要性や管理コストを検討しながら、企業に応じた管理会計が行われることになります。

企業会計のプロセス
 いずれの企業会計も、
 「企業活動」を「記録」し、「集計・処理」し、「報告」するプロセスであるといえます。

 企業会計は、ほとんどの報告数値が金額に換算されたものです。金額に置きなおすことにより、誰でも同じように結果を評価できるという点では、企業会計は非常に優れた道具だと思います。しかしながら、実際の企業活動は、「お金」ではありません。
 私は、企業会計のプロセスが、いかに事実に則って正確に行われるかが大切だと思っています。このプロセスの真実性を歪めてしまうことにより、事業上の過ちが素直に修正できない、あるいは、過ちに気付かないといったことで、大企業であっても大きな事件を引き起こしてしまっているのではないかと思っています。
 結果として、外部の利害関係者や社会に対しても、大変な迷惑をかけてしまうことになるでしょう。  あるいは、税務の面だけでみても、後になって、大きな追徴課税を受けてしまったり、架空の利益により過大に支払った税金が回収できなかったりしているのではないでしょうか。

 最後は少し説教染みてしまいましたが、何よりも正確に素直に事実を把握し、企業の経営を健全な発展へと導くことが、企業会計の共通の目的だと、私の意見を述べまして、終わりたいと思います。

 今後、皆様のニーズに沿った個別的な論点も取り上げて参りたいと思います。ご意見・ご要望などありましたら、下記メールアドレスまでお寄せください。
 なお、当記事は、私の私見であることをお断り申し上げます。

回答者 公認会計士 松尾 拓也
まつお会計事務所
公認会計士 松尾 拓也
福岡県福岡市博多区綱場町6-15 川野ビル1F
TEL092-272-0710 FAX092-272-0711
HP: http://smaken.jp/user/usc_to.cgi?up_c1=43440
e-mail:info@matsuo-kaikei.com
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