財務会計の散歩みち

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福岡!企業!元気!のための財務会計ワンポイント 《平成26年12月号》
資金繰り管理 −経費、その他(最終回)

経費の資金繰り管理
 経費の資金繰りも、まずは予算設定があってからの話になります。
 部門別の月次予算を作成します。管理部門で作成する方法と各部門に予算を作成させる方法とあると思いますが、組織構造や権限委譲のレベルに応じて、適した方法で作成をすることになろうかと思います。
 また、資金繰り管理も意識すれば、単に損益予算を作成するだけでなく、それぞれの予算費目の支払時期に関しても情報を取っておく必要があります。つまり、「各月払い」、「年払」、「○年一括払い」、「随時払い」といった区別をして、資金繰りの予定に組み込むということです。

経費予算と資金計画について
 経費の費目には、例えば以下のようなものが挙げられます。
 販 売 費:「販売手数料」、「荷造運賃」、「広告宣伝費」、「見本費」など
 一般管理費:「旅費交通費」「水道光熱費」「地代家賃・リース料」「交際費」「寄付金」「租税公課」「保険料」など
 まず、それぞれの費目の内訳を把握しましょう。
 その内訳毎に、発生部門、発生要因、支払方法を把握します。
 例えば、販売手数料を例に挙げます。その内訳が、
 契約手数料:契約本数×2,000円、翌月払い
 代理店手数料:代理店の売上高×3%、翌月払い
 であったとします。そうすると、月次の契約本数目標や代理店売上高目標を現業部門に問い合わせて、販売手数料予算を作成することができます。また、支払時期が翌月となっていますので、月次損益予算と月次資金繰り計画はひと月ずれる形になることに注意する必要があります。
 また、固定費については、前年実績を参考とするのが一般的かと思います。
 他の主な費目の要点を記載しておきます。
 旅費交通費:部門別の前年実績+変動要因 翌月の給与精算などが多いかと思います。
 水道光熱費:事業所別の前年実績+月次変動を考慮 翌月ないし翌々月支払
 地代家賃・リース料:契約毎に予算立て 前払・後払を確認
 交際費・寄付金:各部門に予算枠をつけて管理します

営業外収支、未払、前払について
 営業外収支についても、経常的に発生する収支や当期計画されている収入・支出は、資金繰り計画に反映させる必要があります。
 受取利息・配当金、受取家賃、支払利息などは、経常的な収支として予算化します。
 また、未払金や未払費用、前払金や前払費用あるいは仮払金で計上される項目については、費用計上の時期と支払時期が大きくずれますので注意が必要です。
 代表的なものとして、未払法人税等や未払消費税等が挙げられます。支払時期については、税理士に問い合わせればすぐにわかります。

投資活動・財務活動の収支計画
 前回までの内容を合わせて、集計すれば、概ね損益ベースでの資金繰り計画が立てられるはずです。
 これに、投資活動の収支計画と財務活動の収支計画を加えて、企業の資金繰りの全体像が見えてきます。
 投資活動の収支の内容は、主として設備投資と固定資産の処分による収支になろうかと思います。投資予定額のうち、消耗品や修繕費となるものは経費予算の方に含めます。また、処分予定の資産については、処分価格を見積もって収支に反映させます。  その他、貸付金や有価証券の売買が、投資活動に含まれます。
 財務活動の収支の内容は、主として新規借入と借入金返済による収支になろうかと思います。

最後に
 前々項までに説明をした「営業活動上の収支」と「投資活動の収支」それから「借入金の元本返済予定」を合算したところで、現時点で企業が持っている資金力が明確になります。
 そうすると、設備投資資金、賞与資金、短期運転資金など、どのタイミングで資金調達が必要になるのかが一目瞭然となり、自発的な銀行交渉が可能になります。
 また、各月末の資金残高に余裕を持たせておくように計画することも大切な資金繰り管理です。不慮の事象が起きてから銀行交渉に係る時間を考慮して、2〜3ヶ月分の支出額を手許資金として保有している状態がいいのではないかと思います。
 毎月の資金繰り管理ができる企業は、資金効率が良いだけでなくリスクへの対応力も自然と早くなってきます。是非、取り組んで頂きたい経営課題のひとつです。

回答者 公認会計士 松尾 拓也
まつお会計事務所
公認会計士 松尾 拓也
福岡県福岡市博多区綱場町6-15 川野ビル1F
TEL092-272-0710 FAX092-272-0711
HP: http://smaken.jp/user/usc_to.cgi?up_c1=43440
e-mail:info@matsuo-kaikei.com
※当記事は、著者の私見であることをお断り申し上げます。
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