財務会計の散歩みち

                     前へ<<               >>次へ
福岡!企業!元気!のための財務会計ワンポイント 《平成27年2月号》
「決算」

 こんにちは。先日、日本の財政についての講演を拝聴しました。日本や九州の経済状況や政策について精通されている方でしたが、大変興味深い内容でした。例えば、日本の消費の過半を60歳以上の方が支えているとか、1,000兆円の国の債務(国債等)について、国民の資産が1,000兆以上あるので、まだ国債を追加発行しても国民の財産で消化できる(ただし、後数年で逆転するそうです)とか。それが逆転する前に、プライマリーバランス(国の歳入と歳出のバランス)をプラスに転じればデフォルト(財政破綻)は回避できるが、そうならずに国債を海外に引受けてもらうような状況に至った場合は、どうなることかとか。日本の今後の政策の根本が見えるような気がしました。
 さて今回は、「決算」というテーマで話を進めてみたいと思いますが、皆様は、「決算」に対して、どのようなイメージをお持ちでしょうか。

 ● その年度の経営成績(P/L)と財政状態(B/S)を取りまとめること。
 ● 株主に対する過去の業績報告であること。
 ● 配当や役員報酬の決定根拠のひとつであること。
 ● 利益計画や予算に対する評価資料であること。
 ● 税金計算をすること。
 ● 従業員の業績評価の根拠のひとつであること。
 ● 銀行や主要取引先への報告資料であること。などなど...

 実は「決算」には、いろいろな目的や機能があります。貴社の思っている「決算」と比べてみてください。

 私自身も感じることですが、「決算」は比較的単調な「作業」です。また、過去を表現するものであって、将来を示すものではありません。悪い業績は、社内・社外に対して経営上悪い影響を及ぼす可能性があるので、あまり悪い業績は示したくありません。
 また、経理に携わってない経営者にとっては、会計基準や税法規定など普段の経営では接することのないルールや科目があり、「近寄りがたい」とか「儲かっているかどうかがわかればそれでよい」といった印象を与えがちな気もいたします。しかし、経営者は、「決算」を遠ざけてはいけません。経営者は、積極的に「決算」に挑むべきと考えます。

企業経営は、経営者の思い(経営理念・経営目的)を達成するために、戦略を立て、戦術を駆使し、具体的な行動計画(アクションプラン)を実行してゆきます。また、そのために様々な経営資源を投入します。そして、この経営資源を投入するため及び維持するためには資金が必要です。その資金には、返済を要するものと返済を要しないものがあり、それぞれに利息・配当等の財務コストが生じます。そして、企業の資金調達には限度があります。さらに、その企業の資金調達能力は、企業の収益力や成長力によって左右されます。まとめると、
 ● 企業は、経営理念・経営目的を達成できるだけの資金調達能力が必要
 ● 企業は、十分な資金調達ができるだけの収益力や成長力が必要
 ということになります。
 「決算」は、この2つの命題に対して、現実を把握するための手段ということも言えます。

 国の財政に話を戻します。
 <国の決算>
 ● 国民の資産>国の債務1,000兆円(後数年で逆転)
 ● 財政収支の赤字(歳入<歳出)
 <国の環境>
 ● 少子高齢化(社会保障費の増加、労働人口の減少、消滅可能性都市)
 ● 資産保有・消費額の高齢者傾倒
 政府の政策は国の決算を考慮しているでしょうか。国会議員を選挙する国民は国の決算を把握・理解しているでしょうか。それぞれが、国の決算を度外視して意思決定をすると、果たして国はどうなるでしょうか。
 あくまで、たとえ話として大きな話をしていますが、これを貴社の企業経営に当てはめて「決算」の価値を考えてみましょう。おのずからその大切さが感じられるはずです。

回答者 公認会計士 松尾 拓也
まつお会計事務所
公認会計士 松尾 拓也
福岡県福岡市博多区綱場町6-15 川野ビル1F
TEL092-272-0710 FAX092-272-0711
HP: http://smaken.jp/user/usc_to.cgi?up_c1=43440
e-mail:info@matsuo-kaikei.com
※当記事は、著者の私見であることをお断り申し上げます。
                     前へ<<               >>次へ
財務会計の散歩みちリストに戻る