財務会計の散歩みち

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福岡!企業!元気!のための財務会計ワンポイント 《平成29年8月号》
経営と会計のつなげ方(その3)

【前期】 (1)平均単価2,000円の商品×1万個販売 粗利20%
(2)商品1つ当たりの包装費や配送費が50円
(3)本社の地代や光熱費が、年間50万円
(4)役員、従業員は、ほぼ固定 年間200万円
(5)平均預金残高が300万円 預金利率は0.01%
(6)借入金500万円 借入利率は2%

【今期:問題】
 今年になって、1万2千個商品が販売できました。
 損益計算書は、どうなるでしょうか?

 決算書は、すべて金額で表示されます。決算書では、売上や費用などの金額が増加しているかどうか、あるいは売上と費用などの金額のバランスがどうかはわかりますが、これでは経営が見えているとまではいえません。損益計算書であれば、計上されている金額はすべて、単価×数量や期間に分析することができます。その分析を見える形で検討することが、会計と経営を結びつける第1歩といえます。
 それでは、前期の項目番号に従って、問題を解いていきましょう。

(1)は売上高ですので単価×数量というのは誰でもわかります。粗利が20%ですので原価率は80%です。
 売上高 前期@2,000円×10,000個 2,000万円 今期@同額×12,000個 2,400万円
 売上原価 前期 原価率80% 1,600万円 今期 原価率同率 1,920万円
 売上総利益 前期 粗利率20% 400万円 今期 粗利率同率 480万円
 問題では、単価は同額の設定ですが、経営においては、単価を維持改善するにはどうすればよいのか、販売数量を伸ばすにはどうすればよいのか、粗利率を上げるにはどうすればよいのかについて、対策を検討することになります。

(2)は、売上の増減に比例して発生する費用で「変動費」といいます。売上数量がわかれば費用も計算できます。
 変動費 前期@50円×10,000個=50万円  今期@同額×12,000個=60万円
 経営の視点では、変動費は、効率や手間を検討することになると思います。1回2往復していた販売ルートを1往復にできないか、あるいは逆に、月1度の訪問を2度にすることで、売上を2倍以上にできないかといったことを検討します。

(3)は、売上高の増減に関わらす発生する費用で「固定費」といいます。
 固定費 前期、今期ともに 50万円
 事務所の移転や業務プロセスの見直しなど、事業活動を見直した場合は、固定費も変動します。経営の視点でみると、収益力を向上させるためにどのように業務活動を見直すかで、固定費の使い方(予算)を決めることが大切です。

(4)は、人件費です。人件費は売上高の増減に合わせて調整する部分と固定費的な部分があると思います。問題では、ほぼ固定費という設定にしています。
 人件費 前期、今期ともに 200万円
 人件費は、経営の視点では、非常に難しいところだと思います。役員・従業員が会社の経営目的に対し前向きに力を発揮しなければ、目標達成は望めません。従業員がやる気があるかどうか、役員が会社に貢献しているかは、決算書では表すことができません。単に、固定費だとか変動費だとか財務分析だけで検討できない分野だと思います。

(5)(6)は、営業活動とは直接関連しない財務活動の損益です。
 受取利息 300万円×0.01% 300円 支払利息 500万円×2% 10万円
 影響が大きいのは支払利息です。会社の資産総額に対して、いくらまでを借入金で調達するのか、また、その利率は何%で調達するのかで、会社の損益は大きく影響を受けます。中小企業の資金調達手段は、銀行借入によることが多いと思います。問題のケースで、借入金を売上高と同額の2,400万円借入れていたら、支払利息は48万円と約5倍の金額となります。さらには、売上高と同額の借入れをするとなると、銀行の与信もより厳しくなります。仮に、利率が4%となれば、利息だけで96万円を支払うことになります(回答「今期(2)」参照)。  【回答】

問題C
回答者 公認会計士 松尾 拓也
如水グループ まつお会計事務所
公認会計士 松尾 拓也
福岡市中央区赤坂 1 丁目 12 番 15 号 福岡読売ビル 9 階 如水グループ内
TEL092-713-4876 FAX092-761-1011
HP: http://smaken.jp/user/usc_to.cgi?up_c1=43440
e-mail:info@matsuo-kaikei.com
※当記事は、著者の私見であることをお断り申し上げます。
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