【初めに】
皆さん,こんにちは。今回からコラムを担当することになりました弁護士の堀繁造です。
これから,裁判手続のことや実際の事件のことについて色々お話させていただこうと思っております。
裁判にはお金がかかると言われますが,一般市民にはなかなかその中身が分かりにくいと思いますので,まずは,裁判にかかる費用についてお話したいと思います。
【裁判費用の種類について】
裁判費用といいましても,様々なものが含まれますが,大きく分けると,実費と弁護士費用に分けることができます。
実費にもまた様々なものが含まれますが,代表的なのが訴状等に貼付する収入印紙です。
今回は,この収入印紙額についてご説明したいと思います。
【収入印紙の額の決め方について】
収入印紙は,言うなれば,裁判所に支払う裁判の手数料です。
裁判を起こす場合には,原則として起こす裁判に見合った額の収入印紙を納めなければなりません。
では,この収入印紙の額はどのようにして決めるのでしょうか。
一言でいえば,印紙額は訴額で決まることになります。
貸金請求や損害賠償請求のような金銭請求の場合,請求する金額(訴額)に対し,裁判所の定める基準による印紙額が決まっています。
例えば,100万円の貸金請求をする場合の印紙代は1万円です。
訴額が大きくなれば印紙額も大きくなり,1000万円だと印紙額は5万円,1億円だと32万円になります。
では,金銭請求ではなく,建物の明渡を請求する場合には,印紙額はどのようにして決めるのでしょうか。
この場合には,明渡を求める建物の価額(訴額)によって印紙額が決まります。
そして,建物の価額は,原則として固定資産税評価額によるものとし,印紙額は建物の価格の2分の1に対して貸金等の請求と同様の基準で印紙額を定めます。
ところで,会社を不当解雇されたとして解雇無効を求めるような場合には,印紙額はどのようにして決めるのでしょうか。
このような場合,金銭請求や建物明渡請求と違って価額の根拠がないため,訴額を客観的に算定することができません。
そこで,このような場合,訴額を160万円とみなして印紙額を定めることになっています。
ちなみに,印紙額は1万3000円となります。
【最後に】
今回は印紙代について簡単にご説明いたしましたが,高いとお感じになったでしょうか。
裁判には他にも色々とお金がかかりますので,次回以降も裁判費用についてお話したいと思います。
回答者 弁護士 堀 繁造
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